ここ数年やったことの話

あんまり業務の話しないようにしてるんだけど(業務のあおたくは日記のあおたくではないので)、まあでもたまに振り返って何やってんのくらいのことは書いてもいいのかもしれないなあ、と思ったので書く。

現職に至るまでの過程は

aoitaku.hatenablog.com

この記事から7日分に渡ってつづってある。たまに読み返してあの頃はこうだったな、と振り返ってみたりする。さすがにもう十数年も経っていて、思い出せないことも増えてきている。ところで思い出せないことが増えるのは老化で認知能力が衰えたからではなく、蓄積された情報量が多すぎて処理しきれなくなっているから……って言ったらみんな信じてくれるかな。本当のところは知らない。まあアクセス頻度の少ない記憶は凍結されて思い出しにくくなるみたいな仕組みはあるかもしれない。そのくせ嫌なことはフラッシュバックですぐ思い出すんだよな。まあこれ嫌なことは危機回避のために封印しないのが生存戦略っぽいからわかるんだけど。

めっちゃ話がずれた。現職……というか現職の前身となった会社に入ったのが2017年で、三年半在籍して、7月から会社が統合されて現職、という経緯なんだけど、便宜上、前身を含めて現職とさせてもらう。

現職ではウェブアプリケーションプログラマとして入社したので、主にウェブアプリケーションのコードを書いた。少人数の開発会社ということもあってプロトタイピングして顧客からヒアリングし、ブラッシュアップして作るいわゆるプロトタイプモデルでの開発が多かったんだけど、そういう事情で境界線のないまま要件定義、設計もやっていた。

一番大きな仕事として、Brushup や Save Point のような社内向け制作管理ツールの開発をやった。

Excel、脱FTP、脱メール、というスローガンで開発が始まった。

多くの制作管理の現場では仕様書から設計図、課題管理表に至るまで、あらゆるものが Excel で表現される。Powepoint や Word を使うこともあるものの、これらで表現する類のものであっても、Excel が使われることも少なからずある。それ自体は別に悪いことではないんだけど、Excel には同期の上で問題があるとか、データとプレゼンテーションが密結合なのでデータだけを追いたいときに自由が効かないとか、デメリットもある。

続く FTP とメールだが、Excel を使うと、自然と FTP やメールと向き合わざるを得ない。Excel の更新はメールをもって通知される。成果物は Excel に添付できないので、FTP を使って共有される。これが 2010 年代の制作現場の現実として横たわっていたし、おそらく今も横たわっている現場が少なくないと思う。

開発会社では課題管理票を顧客向けに Excel なり Spreadsheet を使って、開発部内では Issue Tracker を使う、という二段構成にしているところがあって、顧客に Issue Tracker を使わせるのはむずかしい(顧客がバグと主張するものが必ずしもコードに起因する不具合とは限らない)ので、顧客の声を部内で揉んだ上で、コードに紐付いた課題に落とし込む過程で Issue Tracker を使う、としたほうがよかったりする。

制作会社は課題管理に Issue Tracker を使わない。これはそもそも成果物がトラッキングされていないからだ。そこで成果物自体をトラッキングして課題管理するツールが必要だよね、という発想になるんだけど、そういうときに何を使うかって話になって出てくるのが、前述の Brushup や Save Point のようなツールである。

ぼくはこのプロジェクトではバックエンドもインフラもほとんど触ってなくて、フロントエンドをメインで担当した。当時としてはわりと先進的で、TypeScript と Vue.js を採用した。

ぼくが SPA フレームワークを使ってコードを書いたのはこれがはじめてではなくて、実は2016年にも Aurelia.js で WebView 上で SPA 動かすタイプのスマートフォンアプリを作ったりしている。Aurelia.js はそれ以来めっきり触っていないというか、Vue.js を使ってみて Vue.js でいいじゃん、となってしまった。Aurelia.js は Shadow DOM の取り扱いがけっこう大変だったというか、作っていたものの都合でコードや CSS をインジェクションする必要に迫られたんだけど、そのへんをうまく実現するためにめちゃくちゃ泥臭いコードを書く必要があって、まあそれ以外は Aurelia.js も悪くなかったけど、今やるなら React か Vue.js という感じになる。もう忘れちゃったしな。

この製作管理ツール、開発は一旦終了していて、今も稼働はしているっぽい。ただ、現場で Excel を完全に捨てることはできてないと思う。まあ、完全に捨てる必要はない。課題管理を Excel から脱却できればいい。メールは……これもまあ必要なシチュエーションはある。FTP は殺せたかな、どうかな……たぶん巨大データのやりとりには依然として FTP が使われてる、んじゃないかなあと思う。

仕事のフローを大きく改革することはむずかしい。まあむずかしいなりに、それでもやっていきたいんだよなと思う。

今もまた脱 Excel をかかげたクラウドの管理ツールを開発している。現場では Excel を捨てきれないし、数多の現場の仕事のフローの差異をクラウドで吸収することはできないので、クラウドのデータを Excel 形式で吐き出すマシーンを作っている。これが理想と現実をすり合わせた着地点だよな、と思いながら。

AIが言語を変える

これはただの妄想なんだけど、DeepL を見ながら「DeepL の翻訳が妥当かどうか検証するには DeepL なしで翻訳できる必要があるから結局人間の翻訳作業はなくならないよね」ということを思いつつも、とはいえ巷には「今日の DeepL の翻訳でこれだけの精度があるんだからそのうちに翻訳は人力でやらなくてよくなる」という意見がかなり多く見受けられ、実際に DeepL よりももっと高精度な翻訳が登場したとて、その翻訳の妥当性を検証しないままこれで OK!となる時代が来るとどうなるか、というと、その頃には AI の翻訳と人間の使う言葉が接近しているでしょう、ということを思いついた。

AI は人間が実際に使っている言葉を学習して翻訳する。その AI の翻訳結果を大多数の人間が使うようになれば、AI の翻訳が正しい世界になる。AI が誤った翻訳をしたまま気付かずにその言葉を使えば、それが新語や新用法として定着していく。

すぐにはそうならずとも、AI の翻訳を利用するケースが実際に増えていけば、AI が学習する実世界の言葉に AI が発した言葉が含まれるようになり、次第に互いの言葉が接近していくことになる。

言語はもともと正解のないファジィな概念なので、そういうことが起きるかもしれない。数十年先か、百年先かはわからないけれど。

言語のようなプリミティブなものを AI 任せにする時代が来たとして、そのようにして AI が人間の思考を代替するようになっていくのなら、我々はどこまでを自身の判断とするべきなんだろうな、と思ったりもする。

こちらからは以上です。

棚に上げる

自分のことを棚に上げておいて批判することの是非……というか「批判の反論として自分のことを棚に上げておいて」という趣旨でいわゆる「おまいう」という便利なフレーズが使われたりするんだけど、ちょっとここで冷静になって考えてみたい。

「おまいう」を封殺すると、批判するには少なくとも同じ論点について批判されないだけの立場が必要ということになる。

異なる論点で「おまいう」が使われるのはわたしは望ましくないと考えているのでここでは置いておく。ただ、よく見かけるよねと思う。

さて、そうすると批判に権利が必要になってしまうわけだけど、そうなると批判は強者の特権になってしまわないか。批判されえない立場というのはえてして強者である。弱者こそ批判の声を上げられるべきで、弱者の批判を封殺するために「おまいう」を使うべきではない。

OK、では批判されうる立場であっても弱者ならば批判してもよいことにしよう。

では、弱者と強者の線引はどうするか。

人間はある面では強者であり、ある面では弱者である。著名人は一般人よりも強い発言力を持つが、その著名人とて100万人の一般人の結束の前にはまったくの無力であることもある。

ボーダー上にいる立場の人間をどう扱うかということもむずかしい。あるときは強者として、あるときは弱者として振る舞うようなことができる。これはバグだと思う。

結局、すべての人間に批判を認めるほうが整合性が取れる。納得しづらさは残る。

棚に上げることの何が悪いのか、ということに立ち返って考える。

人に言う前にまず自分から直せや、ということである。自己批判のない他社批判は虚しい。虚しいが、虚しい批判をすることは許容される。そのような批判を受け止める必要がまったくないわけではない。ただ、受け止めずに棚上げを批判するよりは、受け止めた上で棚上げ批判者に同様の改善を求めるほうがいい。それで批判を受け入れないような棚上げ批判者は徹底的に批判されてよい。あらゆる弱者が己を棚上げして批判してよい。

批判を受け入れても改善がむずかしいことはある。人間は不完全である。寛容でありたい。

上半期の総括

いまみたら6月一件しか記事書いてないやんけ!

半年終わったので半年振り返るのをやっていく。

1〜3月まで。 1月は名前の作り方の本をコミティアに出すために組版して、2月はコミティアに出た。3月に名前の作り方の本がねとらぼで取り上げてもらったりなんかもあって、2020のQ1は名前の作り方の本中心だった。

3月は新型コロナウイルス感染拡大の気配を感じつつも、正直なところあんまり危機感は持ってなくて、都知事の会見がなかったらあんまり気にしてなかったかもな〜ということを今になって思う。ふつうに友人と集まって外食とかしてたし。

もともとリモートワークだったんだけど今年は完全フルリモートになって、4月以降外食にもいかなくなったのでいよいよ巣ごもり生活に拍車がかかっていく。コンビニも行く回数さえはっきりと減った。スーパーで食材を買いためて真面目に自炊をするようになった。料理するのは好きなのでこういうときに自炊できてよかったねという感じだ。

自炊、何作るか決めるハードルが高いんだけど、何作るか考えるコストを下げるか、何作るか考えるモチベーションを上げるかのどっちかが結構重要で、自分は後者を選択した。いつでも買えるキャベツが傷んでもまあキャベツだし……となって廃棄するんだけど、ふだんあんまり食べない変わった食材を買うと無駄にすることに対する心理的抵抗が増す。変わった食材を使うのは普段と違うので楽しい。こうして積極的な理由と消極的な理由の両面で自炊を維持できたんちゃうかな。どんな食材を買ったのかは、以前ブログに書いたとおり。

aoitaku.hatenablog.com

ところで4月からプリコネR、5月からはハチナイというスマートフォンゲームをはじめた。プリコネは、なかよし部とかいう三人組のイベントをやっていたんだけど、このシナリオがけっこういいらしく、興味が湧いてとりあえずこのイベントだけでもやっとくか、という感じではじめた。メインの美食殿も好みだし、スキップがかなり快適なのでこれ毎日スタミナ消化するのぜんぜん苦じゃない。よくできてる。

ハチナイは……なんではじめたんだっけな。わかんない。球詠のアニメ見ててなんとなく野球熱わいたからなんかな。実はローンチ直後にちょっと触ったんだけどそのときはなんかこれダメそうだな!?ってなってやめたんだよね。その後リニューアルでちゃんと遊べるようになって、今のところまだぜんぜん楽しめてる。感想途中まで書いてるので日を見て書いて公開する。推しはすずわかだったんだけど最近は椎名もいいし柊もいいなと思ってる。キャラの個性がいきててちゃんと面白いよ。

球詠アニメ、よかったですね。アニメの尺に落とし込むために展開にけっこう調整入ったりしてたんだけどおおむねよく出来てたと思います。原作も8巻から新章はじまってあたらしい選手が加わったりしつつなんか不穏な雰囲気もただよわせつつという感じなので毎秒新話読ませてほしいと思った (こなみ

下半期どうなるかまだぜんぜん見えてこないんだけど、とりあえずの展望として、夏にRPGツクールMZなるものが出るらしいので、出たら過去に作ったプラグインをMZ対応したり、EverettをMZ対応したりとやることは多そう。幻葬再演 急を完成させたい。作業量的に秋にはちょっと間に合わなさそうだけど、なんとか年内には。待ってくれてる人にはもう少し待ってね! やってない人は今からでも序からやろう! 8月には博麗電脳試遊会Extraが開催されて、弊サークルLunatlazurも参加予定です。参加ちゅってもアツマールにあるTo Hole of Hellと幻葬再演の序・急の三本が出るだけで新作があったりはしないんだけど、やったことない人にとっては全部新作なのでどんどん参加していく。

あ、そうだ。3年ちょっと勤めた会社が6月いっぱいでなくなりました。7月から別の会社で働いています。なくなったというか別の会社に吸収合併されて7月からはそっちで働いているというだけなんだけど。実は3年以上同じ会社に勤めたのってはじめてだったんだよなとあらためて。実のところ会社の名前が変わっただけでやってることはあんまり変わらない。居心地も悪くないので会社がなくなったりとか状況が変わったりしないかぎりは今のところでやっていくでしょう。

こちらからは以上です。

ローグライトというジャンル

最初見たときはローグライクをなんか勘違いしてるのかと思ったんだけどそうではなく意図的にローグライトと呼ぶらしい。

ローグライクという表現が妥当でないので妥当な表現としてローグライトと呼びましょう、という流れがある。

そもそもローグライクとはなんぞや、と言う話から。

ローグライクは文字通り「ローグのような何か」である。

「ローグらしさ」の解像度は受け手によって差があるが、ローグの特徴的な要素を挙げると以下のようになる。

  • 恒久的な死。ゲームの進捗は死によって全てリセットされる
  • 自動生成されるマップや不確定アイテムの識別といったランダム要素
  • ターンベース。プレイヤーの操作スキルよりも思考を重視する
  • サバイバル要素。行動で空腹になり、食糧で満腹度を回復させる

このあたりで、これらの延長線上に以下の要素がある。

  • プレイヤーキャラクターは恒久的に死ぬが、プレイヤーが得たゲームのメカニズムに対する理解は失われない
    プレイヤーのリアルスキルの成長がゲームの進捗となる
  • 状況判断と選択の重要性
    プレイヤーはマップの構造や不確定アイテムの内容を記憶できないので、記憶に頼った決め打ちのプレイングをすることができない
    状況に応じて最適な選択を取る必要がある
  • 高い難易度
    プレイ回数が浅い間は難しいが、ゲームのメカニズムを理解していく中で攻略が可能になっていくような難易度カーブ
  • 高いリプレイ性

この延長線上の要素は、おおよそ「ローグが持っているプレイフィール」のことである。ということはこの延長線上の要素を満たせば「ローグのようなプレイフィールのゲーム」になるのではないか。

実際に巷にあるローグライクと呼ばれているゲームを見ていく。

まず、ローグ直系の子孫たる Hack と NetHack。最大の特徴はマップが保存されること。階段で上下階層へ移動しても、マップは保持される。「同じ階層の探索を後回しにして先に進む」ことができる点で「状況判断と選択」の味が若干元のローグとは異なっている。

Angband は、マップは訪問毎に生成されるが、拠点とダンジョンの行き来がしやすく、攻略と準備の2フェイズを繰り返す点でローグや NetHack などとは異なる。

二大ローグライクの時点でローグとは大きく異る要素を持っているが、ローグライクで構わない。見るからにローグに似ているし、これがローグライクでなければ何なのかということになる。

国産ローグライクの雄、不思議のダンジョンシリーズ。これはおおよそローグの要素を備えつつ、発展的な要素としてアイテム合成なりなんなりを加えている。なお筆者はビジュアルがアスキーアートであることはローグの本質ではないと考えているが、これが重要であると考えるユーザーもおり、プレイフィールの差もあって不思議のダンジョンローグライクとは考えない、という人も多少いる。しかしこのあたりまでをローグライクと呼ぶことには、おおむね同意ができるんじゃないかと思う。

この先から少しずつややこしい話になっていく。

マインクラフト。これはサンドボックスゲームであると同時に、ローグライクゲームである。マップは自動生成されるが、一度生成されたマップは保持される。空腹度の概念があり、食糧を確保しながら探索するサバイバル要素がある。デスペナルティのみでリスポーンする設定にすることができるが、死ぬと全ての進捗が失われるパーマネントデスモードもある。ターンベースではないしグラフィックも3Dだし、何よりサンドボックスゲームなのでブロックを除去したり設置したりすることでプレイヤーが自身でマップの構造を変化させることができるが、たとえば NetHack にもつるはしがあって壁を破壊することができる。なるほどプレイフィールは確かにローグらしさがある。しかし、一般に、ローグライクの話をするときにマインクラフトの名前が上がることは少ない。

次に FTL: Faster Than Light。これは見るからにローグらしくない見た目だが、ローグライクである、とされることが多い。プレイフィールがローグっぽければローグライクなのだ。 FTL はターンベースではないし、戦闘が起きる船内マップ自体は自動生成されない。航行する宇宙がランダムで生成され、ランダムでイベントが発生する。ランダム要素はマップに存在しなければいけないわけではない。そして恒久的な死。繰り返しゲームプレイをしてメカニズムを理解し攻略を進めていくゲームである。遊んでみるとかなりローグらしいプレイフィールがある。

FTLローグライクとして受け入れることができるなら、RimWorld をローグライクと呼ぶことにも抵抗がなくなるだろう。マップはゲーム開始時に生成されるが、以降はプレイヤーが掘ったり壁を作ったりしてマップの構造を変えていく。サンドボックス要素がある。イベントがランダムで発生し、プレイヤーはたびたび危機に陥る。住人が全員死ぬまではゲームは継続するが、住人が全員死ぬとそれまでの進捗のすべてが失われる。住人は空腹になったり病気になったり不幸になったりするので、各種リソースを確保して生存していく必要がある。統括すると、ランダムシナリオのサバイバルRTS、ということになるが、遊んでみるとおおよそローグライクだと感じる。

全体的なプレイ感は RTS のそれに近い。しかし、ゲーム開始時点でマップや配置がランダムで決定される RTS であっても、ふつうはそれをローグライクとは呼ばない。ローグライクらしいプレイフィールとは異なっているからだ。RimWorld はそうではなく、ちゃんとローグライクのプレイフィールがある。

さて、ローグライクのプレイフィールとここまで書いてきたが、たとえば仮に FTL がない世界で RimWorld をプレイして、それをローグライクと感じるだろうか?

ちょっと難しいかもしれない。これはむしろマイクラライクなのだ。サンドボックスサバイバルというジャンルで呼ぶほうが適切だろう。

あたらしいローグライクがあらわれると、それに似たゲームもローグライクと呼ばれるようになる。無限にローグライクが拡張される……ことはなく、やはりどこかでローグライクとそうでないものが分かれるところがある。そういう意味では RimWorld はローグライク要素を備えたゲームだとは言える。

もはやローグライクライクになってしまったものまでを含めてローグライクと呼んでいいのかという話は、よくわかる。

それをローグライトと呼ぶのが妥当だとは筆者は考えていない。

ローグライクを脱却する必要はある。マイクラはマイクラになったからローグライクとは呼ばれない。

近年の大ヒットローグライク Slay the Spire は、もはや Slay the Spire になった。これをローグライクと呼ぶ必要はないだろう。

しかし、Slay the Spire をローグライクに含めてもよいし、ローグライクについて議論をする上で、マイクラや Slay the Spire をあえて除外する理由もない。むしろ含めた上で議論をすべきだと思っている。

あたらしいジャンル名を増やしたところで、おそらくはそのあたらしいジャンル名も拡張し続けていく。ローグライトライクがどんどん作られていく。そうなったときにローグライトが何を指しているのか……ランダム性が強くプレイヤーが繰り返しプレイをして結果を得るタイプのゲームすべてをローグライトと呼ぶようになったとして、そのジャンルになんの意味があるんだろうか、という疑問がある。もちろんそれはローグライクにも言えることではある。しかしよりゆるい定義のあたらしいジャンルよりは、まだマシだと思っている。

ルタバガとゴールデンビーツとパースニップとフェンネルと根セロリを食べたので感想を書く

まだリーキ食べてないんだけどリーキは差異があってもおおよそネギだと思うので、いったんリーキ以外で食べたものについてひととおり書いておきたい。

ルタバガは先月食べた。

フライドポテトのようにして食べるといいらしいと聞いたので、揚げ焼きで試食。

見た目のイモっぽさに反して、食感はそれほどデンプンぽくはない。ほくほくもねっとりもしていないカボチャのような食感と言って伝わるだろうか。伝わらない気がする。しゃくしゃくとしているが水っぽくはない。カブがもうちょっとデンプンぽいとこうかもしれない。風味はほぼカブながら、サツマイモやカボチャに似た甘みがある。

この味だったら煮ころがして鶏そぼろあんかけにしたりしてもいいだろうな、と思いつつ、グラタンに処した。

グラタンにするとグラタンになるのでルタバガ感をお見せすることができないことがわかった。

この時点で一個使い切って残り一個、ゴールデンビーツと食べ比べたかったので、ゴールデンビーツが届くのを待つ。

ゴールデンビーツが届いて、ルタバガとあわせてカレー炒めに処す。結論から言うと、味見目的でカレー炒めにするのは妥当ではなかった。

なんせカレー味になるので。ただ、一応比較はできた。

ルタバガはゴールデンビーツより火の通りが早く、ゴールデンビーツに比べてデンプン感が強い。ゴールデンビーツはフルーティな甘みで、食感もしゃくしゃくとしている。
タマネギがわりにフェンネルを加えている。が、食感は全然別で、ハクサイとかキャベツの芯みたいでかなり繊維感が強い。味はセロリっぽい。フェンネルなのでフェンネルの風味がする。面白いとは思うものの、こういうふうに炒めるならタマネギのほうが向いているだろうなと思う。スライスしてサラダにするといいらしい。

食べ比べるなら、単純に蒸すのが一番いいだろう、と思ってレンジで蒸してみたものの、蒸すことで食感はどちらも似たり寄ったりになってしまった。写真を残していないのだが、塩を振って食べると美味だった。ゴールデンビーツは蒸してもやはりフルーティな甘みがある。これは何にしたらいいんだろうな、と思いつつ、パースニップとともにクリームシチューにした。

ニンジンはパースニップとの味の比較用。
ゴールデンビーツはクリームシチューに合う。というかたぶんクリームのようなコクととろみのあるものに合う。ほどよいフルーティさが調和を生む。あとはまだ試してないんだけど、トマトの酸味と合わせると相性がいい気がする。

ニンジンとパースニップの食べ比べは、これははっきりと違いがわかる。まず、パースニップは食べると強烈な香気が来る。薬草っぽい香りだ。スペインカンゾウ? ドクターペッパールートビアなんかを想像してもらえると伝わるだろうか。それからニンジンよりもずっと甘みが強い。一方で風味ほど味にクセがない気がする。ニンジンは味に独特なニンジンらしさがある気がするが、パースニップにはそれがあまりないように思う。食感もかなり違っていて、パースニップはかなりねっとりとしている。芯は繊維質が強いが、口で簡単に解ける。ニンジンはしゃくしゃくとした繊維感がある。事前知識では薬草くさいニンジンだろう、くらいに思っていたので、ここまで違うとは思っていなかった。やっぱり食べないとわからない。日本で普及していない理由もよくわかった。

パースニップが強烈なセリ科の香味野菜だということはよくわかった。セリ科にはセリ科。お互いに微妙に風味が違うので、組み合わせたときにどうなるのか試してみたい、と思って、セリ尽くしカレーを作った。

これを見てもわからないと思うが、ジャガイモのかわりに根セロリ、ニンジンのかわりにパースニップ、タマネギのかわりにセロリとフェンネルを使った。

根セロリはこういうものである。

切ってカレーにするとパースニップと見た目の区別がつかない。が、食べればわかる。根セロリはセロリの味がする。セロリ自体よりはいくぶん繊細な味で、悪く言えば無味に近い。風味がセロリで、食感だけがある。パースニップは相変わらず強烈に主張する。どちらかといえば根セロリがニンジンに近く、パースニップがジャガイモに近い。 フェンネルは炒めたときにはタマネギのかわりにはならないと思ったものの、煮るとかなりそれっぽくなる。風味も味も違うが、こういう風味のカレーがあってもいいだろう、という気がする。ただしタマネギほどの甘みが出ないので、甘みを出す工夫をしたほうがいいだろう。そう思って今回は根菜くずのブロスを使っている。この根菜くずのブロス、マイルドな甘みとコクがあって旨いのだが、根菜由来の土臭さがある。カレーの香りとセリ科香味野菜の香りがなかったらアカンかったかもしれない。

さて、一晩寝かせるとどうなるか。

カレーにすると全てカレーになる。当然ながら香りは飛ぶし、カレーの香りだけが残る。寝かせる前ははっきり区別がついたパースニップと根セロリも、どっちがどっちか怪しい感じになった。根セロリはほぼカレーに入れたニンジンという感じで、むしろニンジンのニンジン臭さってセロリのセロリ臭さと根が同じなのでは?という気付きがあった。まあセリ科だしそうかもしれない。

パースニップはなんかとろとろの根菜という感じで薬草ぽさもほぼなかったしだいぶ食べやすくなっていた。これくらい煮込んだらおそらく誰でも普通に食べられる。ただ薬草ぽさのないパースニップ……?という感じはある。ドクペを飲む人間はドクペが飲みたいからドクペを飲むのであって、さもなくばコーラを飲むよねという。

タマネギ由来の香気がないので、ちょっといつものカレーとは違うなという感じはある。今回は市販のルーを使ったのでそこにタマネギが入っており、タマネギっぽい甘みはゼロではないんだけど。今度やるときはスパイスから試してみたい。コリアンダーとクミン、チリペッパーは常備してあるので、ターメリックを買ってくれば作れそう。

よくよく考えてみれば、コリアンダーもセリ科だった。セリ科はもともとカレーの風味を構成するわけだから、そりゃカレーには合うよね、という。

というところでまとめ。

おおむね食べたことない味ばかりだったのでかなり満足感がある。まだ材料はあるので、もうちょっといろいろな料理をやってみてもいいかもしれない。

たとえばゴールデンビーツとパースニップがあるので、定番のボルシチをやってみたい。そのためにはサワークリームが必要なんだけど、なんとうちにある低温調理器はサワークリームが作れるらしい。

www.yogurtia.net

これを使ってヨーグルトと生クリームからサワークリームを作ってみるとよいかもしれない。

まだ食べてないリーキはグラタンにする予定。グラタン、といってもクリームベースのそれではなくて、オニオンスープグラタンみたいなやつ。米粒状のパスタとタマネギ、ひき肉、ニンニクでこっちはネギづくしにしてやろうと思っている。

こちらからは以上です。

今年もまた一年の無事を祝う

日付があるタイプの恋愛シミュレーションゲーム、最近はあまりなくなったんだけど、ちょうど一ヶ月くらい前に OOParts というクラウド上で美少女ゲームをプレイできるサービスが正式リリースされた。

oo.parts

プリズムハートとかいう20年前のゲームが普通にプレイできて感動したんだけど、普通にプレイできるので普通にプレイしてしまった。プリズムハートはときメモみたいな育成SLGで、休日は訓練か外出、平日は訓練で自動進行する。ランダムでイベントが発生したりすることもあるが、基本的には訓練アニメーションが表示されてステータスが上下して終わり、ただそれだけの日であることが多い。で、プリズムハートのカレンダーでは5月26日は金曜日なので、何らかの訓練のアニメーションが表示されてそれだけの日になりがちで、5月27日の土曜日を迎えてはじめてそういえば5月26日を通り過ぎたな、となる。現実には平日は仕事をしているので、過去から振り返ってみれば通り過ぎた一日にすぎないんだけど、いま現時点ではいまわたしが存在している一日なわけだ。

そういうわけで今年も無事に5月26日を迎えることができた。まああんまり健康とも不健康ともつかない生活をしている。年々風邪は治りにくくなってるし、睡眠リズムも相変わらず壊れているし、気圧気温の乱高下で偏頭痛にさいなまれるし、とはいえ大病とは無縁でいられているので、無事といってよいでしょう。

毎年5月26日には近況報告に加えてなんらか意思表明をする……ようには別にしていなかったようで、去年の日記はあるけどその前はなかった。ないならないでこれから毎年やっていってもいいかなと思っている。

OOParts の話をする。今は期間限定で月額1000円で遊び放題、期間終了後は月額3000円を予定しているということで、同じくクラウド上で美少女ゲームを遊べるサービスをやってる DMM と最終的には同じ価格ということになる。DMM のほうは使ったことないので比較はできないんだけど、月額3000円になるまでは正式リリースと銘打ったアーリーアクセスくらいのつもりで使ったほうがよさそうに思う。

まず、ふつうにゲームはプレイできる。たまに不安定なことがあって、操作が効かなくなったりすることが一回だけあったが、間をおいてプレイすると改善した。今のところは遅延がたまに発生するくらいでまあまあ遊べる。今は特に回線が輻輳しやすい時期なので、このあたりは寛容な目でみたいところ。

仕組みはゲーム画面をストリーミングで再生してこちらからは入力を送る、というだけのものだと思うんだけど、ゲームのプレイ環境をクラウドで用意するところと、配信環境がキモだと思われる。前者は最近のゲームも遊べるようにするためにそこそこのスペックが必要だし、後者はとにかく金を積み続けるしかない。ということを考えると、月額3000円でも採算取れないんちゃうか?という気持ちがある。潰れないで存続してほしいと思っているのですぐに加入したんだけど、あまり楽観視はできないよなーと思っている。

で、がんばってサービス拡充してほしいんだけど、いまのところふたつくらい課題がある。

ひとつは、ゲームが少ない。DMM と競合しているのでゲームを増やすのは難しいかもしれない。この手のサービスに乗り気なアリスソフト、オーバーフロー、オーバードライブあたりがゲームを提供しているのは強みではあるものの、このあたりのゲームってみんなだいたいプレイしており、再体験するためだけに月額1000円はきついのでは?という感じがある。むしろそこまでのビッグタイトルよりは、当時興味あったけど他のタイトル買ったからやってない、みたいなタイトルのほうがプレイしたさがあるように思っていて、それは今のところ層のうすさを感じる。当時一線級だったメーカーがもう撤退して存在しないとかもあり、どこかのプラットフォームが権利をもっていて、新規プラットフォームにとってハードルになってたりするかもしれない。

もうひとつは、UI の改善。たとえばメーカー名をクリックしてメーカー名で絞り込んが検索結果が表示されてほしいんだけどそういうのはないし、メーカー名以外の情報をタグ化してそこから絞り込んだページに遷移とかもできない。検索自体はキーワード検索ながらタイトル以外の情報でも検索ができる。ただしタイトルとクリエイター、メーカー全部にヒットするようなキーワードだとメーカー名だけで絞り込みたいのに!みたいなときに困ったりはする。
このへんはまだ本数が少ないのでそこまで致命的なものではないものの、トップ画面ではパッケージがずらっと並んでいるだけで、ゲームタイトルはクリックしてみるまでわからない、という感じになっており、厳しい。検索画面ではゲームタイトルとパッケージのサムネイルが見られるものの、表示順は謎で制御されていないように見える。発表年月なりメーカー名なりでソートしたいし、せめてタイトルでソートできるようになってほしい。 マイリストはプレイしたゲームの履歴でしかなく、お気に入りのゲームを保存するためには使えない。マイリストから消せるだけでもだいぶ違うと思うんだけど、そもそもお気に入り機能がほしいよなと思う。

ただ、たとえばお気に入り機能を何も考えずにつけると「あとでやる(一生やらない)」機能になる。このへんちょっと難しいんだけど、たとえばゲームをプレイしないとお気に入り登録できないようにする、とかは一つの方法だと思う。
検索もそうで、あんまり簡単に絞り込み、ソートができると、ユーザが望んだものとしか出会わないという状態になる。この手の遊び放題は、まだ知らないタイトルに触れることができるように誘導しないといけない。本屋の平積みみたいなことをやる必要がある。今のピックアップはただ乱数がなんかやってるな、程度でしかないので、結局サービス側が人力でがんばるしかないんだけど、それはそこそこコストがかかるので大変そうだなあと思っている。少なくとも、今のトップ画面や検索画面の「なんかよくわからんけどシャッフルされている」だけの状態はただ不便なだけで、未知の作品に出会う動線の引き方としてはぜんぜんうまくないので改善したほうがいい。

ごく個人的な感傷込みでいうと OOParts はタイムマシンだと思っている。

いまも現役のプレイヤーは新作ゲームは DL 販売で買うし、もはや新作ゲームを買わないという層が懐かしんでプレイするためだけには、月額1000円でもけっこうきつい。なんせ旧作はたびたびセールで2000円とか3000円とかで買えるわけで、それしかプレイしないんだったら年12000円も払わない。一ヶ月にプレイできるゲームの本数なんてたかが知れているので、遊び放題という戦略自体がまずきつい。美少女ゲームはだいたい10時間くらいかかる。長いものは20時間くらいかかる。短いゲームも少なからずあるものの、そういうゲームは安価で売られたりもしている。短いゲームをやるんだったら買い切りのほうがいいし、やるかわからんゲームのために月1000円は苦しい。それでも、あえてこのサービスを推したいのは、ゲームをプレイする環境をプレイヤー側で維持しなくていいから。
HDD には過去のゲームが何十本か入ってるものの、インストールし直さないと遊べないゲームもたくさんあり、マシンを買い換えるたびに再インストールしないといけないつらさがある。何十本もあるとさすがにぜんぶ DL 版をあらためて買うというわけにもいかない。特に好きなタイトルは折を見て買ったりしているものの、そもそも売ってないゲームなんかもある。そのへんをカバーしてくれるようになったら、それが理想のタイムマシンなんだよな、と思う。
まあ今のところは、当時のエロゲショップの空気感を断片的に味わえるだけ、くらいのものという感じなので、マジで本当のオーパーツになってほしいし、まずは2000年代前半のゲームを8割くらいカバーしてくれるとたいへん助かる。助かりたい。

OOParts の話をしたので最近のゲームの話もしていく。

美少女ゲームは衰退した衰退したと言われるけど、この10年くらいは低空飛行を続けているだけで、少子化で新成人が減少し続けることを考えるとまあまあ持ちこたえているように思う。また、文化としてはソシャゲなどに確実に継承されている。これで役目を終えたとは考えていなくて、デジタル紙芝居がデジタル紙芝居として定着してほしさはずっと感じている。アニメより低コストで作れて、小説より表現力がある媒体、かつプレイヤーが自分の意志で読み進めていくことができる。プレイヤーの入力にフィードバックを返すギミックはまだまだ行き着くところまでは行ってないと思っているんだけど、それは美少女ゲームがシナリオに偏り過ぎたので、ゲームデザインは未成熟だと感じている。90年代にはゲームとしてデザインされたゲームもたくさんあったんだけど、2000年前後に物語消費需要が増して、以後ゲームデザインの研究は停滞してしまった感じ。ところがコンシューマはそうでもなくて、完全に死んだラインでもない。まだやっていけるはずなので、やっていきたい。同人ゲーム市場ではゲームブック風のゲームがそこそこ……というか本数だけで見れば商業より売れてるので、ゲーム需要はある。

今後買う予定のゲームでも紹介しておこうと思う。

  • 天冥のコンキスタ
    買う予定というか予約済み。前作はゲームバランスに難があったもののそれなり楽しめてはいる。ただ、このメーカー RPG より SRPG のほうが向いてるよねというのはつくづく感じた。今回は SRPG

  • ぱられるAKIBA学園
    まるでクロシェットのゲームみたいだあ、と思ったら、onomatope*とクロシェットのコラボブランドとのこと。原画はどこでもすきしていつでもすきして*1の雛祭桃子氏、最近は onomatope* のゲームで原画描いてる人なんだけど、グラフィッカーがクロシェットなのかクロシェットぽい雰囲気になってる。

  • かけぬけ★青春スパーキング!
    サガプラのゲームはだいたいそこそこ好きくらいなんだけど今回は原案:瀬尾順と書いてあるのでにわかに期待感が高まってしまった。ぼくにとっての瀬尾順といったら春ポコなんですけど、みなさんも心のなかに瀬尾順がいると思います。みなさんはどうですか。楽しみですね。

  • 青春フラジャイル
    パープルのゲームめっちゃ積んでるけどこれも出たら買うとは思う。買うだけ買ってプレイしないみたいなこと増えてるのに OOParts で古いゲームやってる場合じゃない……。蒼乃むすびさん、ラズキュからこっちメインやることめっちゃ増えて大活躍ですね。いいですね。

  • 俺の姿が、透明に!? 不可視の薬(インビジブル)と数奇な運命
    もう出てるやんけ! まだ買ってないので今月中に買う。今月中に買うとクレジットカードのポイントがたくさんつくので*2
    出会って5分もまだプレイしてないやんけ! これは来月やります。やったら感想も書く。ていうかまだ感想書いてないゲームもめっちゃあるな……。
    Hulotte のゲームは設定を活かした話作りが毎回上手いのでオススメ。とりあえず妹三部作やるといいんじゃないかな。

最近見てるアニメの話とかハチナイの話とかはまた機会をもうけて書きます。

こちらからは以上です。

*1:これまたえらい懐かしいゲームだ

*2:誕生月なので