振り返り

ぼくの育った地元は終身雇用信仰が強い地域だった。だったというのは今どうなっているか知らないからだけど、そういう「土着信仰」はそうそう簡単に変わったりしないから、今もそうだろうと思う。

たぶん8~9年くらい前のことだったと思う、二度目の離職で無職だった頃、中学の同級生と飯を食う機会があった。二度の離職をして無職だという旨を伝えると「お前それもうやべーよ、この先どうすんの」と大層心配されたことがある。当時の自分は精神的にも参っていたので、これは結構堪えた。地元ではその後バイトでプログラムを書くなどしていたが、その頃ブログのプログラミング記事を読んだ友人にありがたくも声をかけてもらって、なんやかんやあって今は東京にいる。

関東のIT系は職場を転々としながら働く人間というのがそんなに珍しいものではなくて、あんなふうに不安を煽られたのは何だったのだろうという気持ちになる。その同級生とは今はもう会っていない。

それからは、昔取った杵柄ではなく、自分が業務に携わったことのない言語やフレームワークを意識的に選んでやってきた。選べる環境だったからというのが大きい。そのときの地固めのおかげで今がある。30過ぎてから地固めをしても決して遅くはなかった。

今の自分に「人権」があるのはそういう基盤があるからだと思っていて、さもなくば、経歴の傷によって、コミュ力のなさによって、年嵩によって……などなどの理由で減点され、彼らの言う「まっとうな人間」からは何枚か下のところに置かれて、「ランク付けされた人権」で扱われることになる。いや、ぼくの育った地元ってそういうところなんですよ。

基盤ができるまでの間、人間として扱ってくれたのはお袋と幾人かの友人だけだった。そのおかげで今生きている。

金沢の歩き方

金沢、新幹線開通からもう随分経ち、関東から気軽に行ける観光地になったと思うが、あらためてじゃあ金沢行って何したらいいのかというところを書いていきたい。

金沢観光が向いている人

金沢は歴史のある街なので、そのあたりの歴史に興味がある人がいくと見るべきところが多くあり楽しい。
食事はとにかく海産物がうまいので、海鮮が好きな人は楽しめると思うが、東京の民は豊洲でも充実しているので海鮮だけだとあえて金沢を選ぶ理由にはならない気もする。そういう意味では加賀料理は金沢ならではなので来て食べる価値がある。

いつがおすすめ?

冬は香箱ガニもあるし、寒ブリもうまい。雪が降れば雪化粧をした兼六園を見られる(ただしそんなにしょっちゅう積雪があるところではないのでタイミングがよければ)。ただし当然寒いし、雪が積もった金沢を歩くのはある程度の雪への慣れが必要。冬は雪より雨がちで、まあまあ大変なので初回はおすすめしない。

個人的には連休を外したタイミングのほうがおすすめ。人出が少ないときのほうがゆったりとした時間を過ごせる。金沢はゆっくりじっくりと見るほうが楽しいところなので、人出の多いタイミングに急行スケジュールをこなそうと思うとあまり楽しめないかもしれない。

どこいったらいい?

金沢駅近辺は土産を買ったり食事をしたりするには適しているが、散策するなら茶屋街や兼六園金沢城あたりになると思う。21世紀美術館兼六園の手前にある。

兼六園は季節ごとに姿を変えるので、いついってもたのしいと思う。夜はライトアップをやっていることがあるので、泊まりで行くなら夜の兼六園をぜひ見てほしい。夜にしか見られないものがある。
ライトアップの注意点としては、秋から冬の間は閉園から再入場できるまでに一時間以上時間が空いてしまうので、もしライトアップ目当てなら閉場が遅い金沢城を見て回ることをおすすめする。
また、園内の成巽閣で特別展示を行っていることがあるので、なにか催しをやっていておもしろそうだったら見ていくとよいと思う。成巽閣自体が歴史的な建物で中を見てたのしいし、わたしが行ったときは源氏物語の280年前の写本や当時の精巧な鼈甲細工などが展示されていたりしてたいへんよかった。

個人的には大野・金石地区がおすすめで、大野のヤマト糀パークでは大野醤油やいしるを味わうことができる。もちろん土産もあるので立ち寄って買っていってほしい。近隣には銭屋五兵衛記念館、からくり記念館といった施設もあるので、その手の資料館・博物館が好きな人はたのしいと思う。わたしはたのしかった。

何食べたらいい?

やはりなんといっても季節の魚。地のものがあればぜひそれを食べてほしい。冬はカニもいいが、ブリがうまい。
それはそれとして治部煮などの加賀料理はやはり金沢でなければ食べられないと思うので、これらも食べてほしい。出汁をぞんぶんに吸った車麩の入った金沢おでんがうまかった。
加賀野菜がうまい、源助大根も五郎島金時も加賀れんこんも金沢に来たら食べてほしい。

金沢は酒もうまい。
駅ビルにオリエンタルブルーイングの直営店があって、加賀棒茶スタウトや湯涌ゆずエールといったクラフトビールが飲める。加賀棒茶スタウトは香ばしくまろやかな苦味でとても飲みやすいスタウト、かりっと揚がった五郎島金時スティックといっしょに味わうのが最高によかった。
日本酒は好みもあると思うが、個人的には手取川が本当に好きで、この酒が魚の刺身に合うんだよな。いわゆる淡麗の酒で後味がスッキリしていて口の中をリセットしてくれる。魚を食べてから飲むと旨みが増すし、飲んでから魚を食べると魚の味をよりはっきりと感じやすい。

店は全国チェーンの店でなければどこに入ってもだいたいうまいと思う。店ごとに目利きのよしあしとかはあろうと思いつつ、そもそもスーパーのパックの刺し身がうまいんだからだいたいうまいに決まってる。

海鮮はあえて金沢でなくとも、という人は、8番らーめんなどの金沢ご当地グルメという選択肢もあるかもしれない。わざわざ県外からそのためだけに行くもんでもないとは思うが……。カレーのチャンピオンとか県外進出しているので金沢でなくとも食べられるが、金沢で食べることに意味を感じられる人は行ってみてもよさそう。ハントンライスは食べる機会がなかったのでつぎ機会があれば食べてみたい。

土産はどうしたら……

金沢といえば和菓子。個人的なチョイスをいくつか。
絶対に間違いがないのは中田屋のきんつばで、きんつば買うならこれを買えば大丈夫。季節によってはえんどう豆を使ったうぐいす、栗が入った毬栗、桜が香るさくらなどがある。どれもうまいのでお好みで。10〜11月には通販では買えない五郎島金時を使った金ときがある。めちゃくちゃうまいのでタイミングがあえばぜひ買って食べてみてほしい。

好みはわかれるが、個人的には小出の柴舟がたいへん好きで、砂糖でコーティングされた生姜風味のせんべいなのだが、生姜がしっかりと効いていてうまい。食べるジンジャーエール。緑茶もいいが紅茶やコーヒーにも合うと思う。

金沢といえばあんころ餅。餡の甘さが上品でしつこくなく、とても食べやすい。あまり引き合いに出してもよくないとは思うが、あんころ餅で育ったこともありあまり赤福餅をいいものだと思えないままここまで生きてきてしまった*1

板状の最中の生地にクリームを挟んださい川もなかなかよい。軽い食感で口当たりがよく、甘さも上品でたいへんおいしい。

一方で近年のあたらしいお菓子もだいたいなんでもうまい。さすが金沢というか、何買っても外れはない感じ。金澤文鳥とか YUKIZURI とか、このあたりは間違いなさそうに思う。

お菓子以外は近江町市場でいろいろ見るとよいと思う。好みはあると思うが、酒飲みにはふぐ卵巣の糠漬けをおすすめしたい。ふぐの一夜干しもあわせてどうぞ。

富山もいいぞ

金沢より富山のほうが人出が少ない場合があるので、もし新鮮な魚介目当てなら金沢ではなく富山という選択肢もある。金沢から新幹線で20〜25分程度なので、金沢観光して富山で飯食って帰るというのも割とありだと思う。白エビがうまいのでぜひ食べてほしい。

こちらからは以上です。

*1:でも赤福赤福餅より朔日餅のほうがうまいと思う

Stable Diffusion 試す

VRできるくらいのスペックのマシンを、ということでこのマシンを組んだときは GTX2070 を積んだんだけど、このスペックなら普通に Stable Diffusion が動く。

Midjourney は Discord でプロンプトを入力するのがだるすぎてお試しの段階でもっと手元で試行回数ぶんまわして感覚を掴みたいのですが?となったので、ローカルで Stable Diffusion が動くならこれでできるじゃん。ただ導入が億劫だったり他にやりたいことやることあったりだったのでこのタイミングになった。逆に情報が集積されて参入しやすくなった感じはある。

実際試した所感。 基本はガチャ。とにかく試行回数重ねていい感じのものを引き当てる。ただこれは人間が描いててもわりとそうで、いい線が引けるまで線を引きまくるみたいなのはプロの漫画家でもやってたりする。 人間が手で描くよりは確かに速い。しかし AI は今のところ知っているものの組み合わせでしか描けない。自分の絵に似た絵を量産したいと思ったら自分の絵を学習させる必要があり、学習には生成よりも高スペックのマシンが必要になる。ちょっとむずかしい。というわけで、どこかで見た絵柄の絵を大量に作るのは得意、という感じなので、どこかで見た絵柄ではない、その人固有の絵の価値は今後むしろ高まると思う。流行の消費が過熱するので個人的にはもっとのんびり楽しもうよ~という気持ちになったりするが、おそらくニッチなものについては今後もしばらくゆるやかな時間の流れが維持されるような気はしている。

ちょっとした素材を作るのには向いている。ただし出力されたものがそのまま使えるかというとそんなことはないし、望む出力を得るためにはそこそこガチャを回す労力がかかる。労力もそうだし単純にマシンを動かす時間がかかる。ものによっては描いたほうが早いものもあると思う。もし素材集で足りるなら基本は素材集のほうが早いし使い勝手もいい。作風やフォーマットを統一して AI に出力させるのは結構厳しそう、という事前の予想どおり、やはり厳しいと思う。出力が安定するプロンプトを生み出せればいいんだろうけど。

手で直せば使える、とか、描いたものベースに image2image するとか、そういう使い方をしたほうがいいツールに思う。プロンプト一発で予想外のものが出てくるのは楽しいが、完成品を出したいのではなくてなにかに使うためのものを作りたいときは、再現性のある手法でないと困る。よくこんなんで同じキャラが出演するCG集作ったな……という感想。
一回出てきたもので完成ではなくて、段階的に途中経過を出力しながらその都度舵取りしてゴールを目指すというのが望む出力を得るためには必要そう。

あと AI は手は下手くそだけど手の3Dモデル使えばそのへんは回避できる。AI が描くの下手な部分はいまのところ人間が描いたものを貼り付けて補助してやるのがよさそう。 でも実際のところ手みたいなだるい部分を AI に描いてもらいたいのに、って感じだけど、人間が苦手なものは AI も学習が足りない、ということですわな。

学習モデルの個性で出力の個性が変わるのは面白かった。Waifu と Trinn でかなり違う。

キャラ読み込んでアングル差分とか表情差分とか、ポーズ絵読み込んでキャラ絵と合成したらそのキャラのポーズ絵が出力されるとか、そういうツールが今後出てくるやろな、と思っていて、そうなったら真面目に作画ツールとして現場で使えるようになっていくと思う。そのためにはプロが描いた絵でそういう学習モデルを作る必要があると思うし、そういう仕事が今後発生するだろうなあと思っている。

今のところは、がんばったら使えそう、もうちょっとがんばらなくてもよくなると便利そう、ただそうなってもより AI を活用できるのはやっぱり絵が描ける人だろうなあという感想。それでも我々のような眼高手低勢には余りあるほどに福音だと思う。

こちらからは以上です。

Lazri の JavaScript 実装を公開

Lazri Online DEMO

触って試せるものもとりあえずアップしたが、文法のリンクがないので使い方がわからない。Lazri にコメントがあればいいんだけどコメントはないので、例文の中にコメント書いて説明ということもできない。とりあえず以下に文法を書いておく。

バッククオート二つで括った文字列は ``傍点つき文字列`` になる。
サーカムフレックスではじまり、半角カッコで括られた文字で終わる文字列は
^ルビつき文字列(ルビつきもじれつ) になる。
*** のみの行はセクション区切りになる。
        半角スペース八個でインデントされた行はインデントブロックになる。
                半角スペース16個でインデントされた行は右寄せブロックになる。

最初から入力されている黄昏フォークロアの冒頭文はこれらをカバーしたものになっている。

ちなみに見出しは HTML 変換器が壊れていて動かない。後で直す。2022-10-26追記: これ直したので今は動く。

ソースコードaoitaku / lazri.js - GitHub にある。npm (でも yarn でも pnpm でもなんでも)でインストールすれば使える。コマンドラインツールも同梱しているので、手元でファイルを変換したりもできる。

とりあえず HTML で script タグで取り込んで使うんじゃという人は ブラウザ向けビルド があるのでそれを使うといいと思う。script タグで読み込んだら Lazri というグローバル変数が生えるので、Lazri.parse でパースできるし、Lazri.htmlTransform でパース結果を HTML に変換したりもできる。

今回 esm と umdcli とそれぞれ用意するのはじめてやったけど勉強になった。今後に活かせるかというとあんま活かせない。たぶんこれでしかやらないと思う。いや、everett-mwi とか onsya とかあるか……。まあ気が向いたら。

多分動くと思うからリリースしようぜ

というわけで、かねてよりやりたかった小説掲載先を個人サイトに切り替えるを達成すべく 半(なかば)文庫 というサイトを作りました。

これにともなって、なろう、カクヨムからは作品を引き上げてあります。なろう、カクヨムでお付き合いいただいた方にはあらためて感謝を。これまでありがとうございました。

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