ここ数年やったことの話

あんまり業務の話しないようにしてるんだけど(業務のあおたくは日記のあおたくではないので)、まあでもたまに振り返って何やってんのくらいのことは書いてもいいのかもしれないなあ、と思ったので書く。

現職に至るまでの過程は

aoitaku.hatenablog.com

この記事から7日分に渡ってつづってある。たまに読み返してあの頃はこうだったな、と振り返ってみたりする。さすがにもう十数年も経っていて、思い出せないことも増えてきている。ところで思い出せないことが増えるのは老化で認知能力が衰えたからではなく、蓄積された情報量が多すぎて処理しきれなくなっているから……って言ったらみんな信じてくれるかな。本当のところは知らない。まあアクセス頻度の少ない記憶は凍結されて思い出しにくくなるみたいな仕組みはあるかもしれない。そのくせ嫌なことはフラッシュバックですぐ思い出すんだよな。まあこれ嫌なことは危機回避のために封印しないのが生存戦略っぽいからわかるんだけど。

めっちゃ話がずれた。現職……というか現職の前身となった会社に入ったのが2017年で、三年半在籍して、7月から会社が統合されて現職、という経緯なんだけど、便宜上、前身を含めて現職とさせてもらう。

現職ではウェブアプリケーションプログラマとして入社したので、主にウェブアプリケーションのコードを書いた。少人数の開発会社ということもあってプロトタイピングして顧客からヒアリングし、ブラッシュアップして作るいわゆるプロトタイプモデルでの開発が多かったんだけど、そういう事情で境界線のないまま要件定義、設計もやっていた。

一番大きな仕事として、Brushup や Save Point のような社内向け制作管理ツールの開発をやった。

Excel、脱FTP、脱メール、というスローガンで開発が始まった。

多くの制作管理の現場では仕様書から設計図、課題管理表に至るまで、あらゆるものが Excel で表現される。Powepoint や Word を使うこともあるものの、これらで表現する類のものであっても、Excel が使われることも少なからずある。それ自体は別に悪いことではないんだけど、Excel には同期の上で問題があるとか、データとプレゼンテーションが密結合なのでデータだけを追いたいときに自由が効かないとか、デメリットもある。

続く FTP とメールだが、Excel を使うと、自然と FTP やメールと向き合わざるを得ない。Excel の更新はメールをもって通知される。成果物は Excel に添付できないので、FTP を使って共有される。これが 2010 年代の制作現場の現実として横たわっていたし、おそらく今も横たわっている現場が少なくないと思う。

開発会社では課題管理票を顧客向けに Excel なり Spreadsheet を使って、開発部内では Issue Tracker を使う、という二段構成にしているところがあって、顧客に Issue Tracker を使わせるのはむずかしい(顧客がバグと主張するものが必ずしもコードに起因する不具合とは限らない)ので、顧客の声を部内で揉んだ上で、コードに紐付いた課題に落とし込む過程で Issue Tracker を使う、としたほうがよかったりする。

制作会社は課題管理に Issue Tracker を使わない。これはそもそも成果物がトラッキングされていないからだ。そこで成果物自体をトラッキングして課題管理するツールが必要だよね、という発想になるんだけど、そういうときに何を使うかって話になって出てくるのが、前述の Brushup や Save Point のようなツールである。

ぼくはこのプロジェクトではバックエンドもインフラもほとんど触ってなくて、フロントエンドをメインで担当した。当時としてはわりと先進的で、TypeScript と Vue.js を採用した。

ぼくが SPA フレームワークを使ってコードを書いたのはこれがはじめてではなくて、実は2016年にも Aurelia.js で WebView 上で SPA 動かすタイプのスマートフォンアプリを作ったりしている。Aurelia.js はそれ以来めっきり触っていないというか、Vue.js を使ってみて Vue.js でいいじゃん、となってしまった。Aurelia.js は Shadow DOM の取り扱いがけっこう大変だったというか、作っていたものの都合でコードや CSS をインジェクションする必要に迫られたんだけど、そのへんをうまく実現するためにめちゃくちゃ泥臭いコードを書く必要があって、まあそれ以外は Aurelia.js も悪くなかったけど、今やるなら React か Vue.js という感じになる。もう忘れちゃったしな。

この製作管理ツール、開発は一旦終了していて、今も稼働はしているっぽい。ただ、現場で Excel を完全に捨てることはできてないと思う。まあ、完全に捨てる必要はない。課題管理を Excel から脱却できればいい。メールは……これもまあ必要なシチュエーションはある。FTP は殺せたかな、どうかな……たぶん巨大データのやりとりには依然として FTP が使われてる、んじゃないかなあと思う。

仕事のフローを大きく改革することはむずかしい。まあむずかしいなりに、それでもやっていきたいんだよなと思う。

今もまた脱 Excel をかかげたクラウドの管理ツールを開発している。現場では Excel を捨てきれないし、数多の現場の仕事のフローの差異をクラウドで吸収することはできないので、クラウドのデータを Excel 形式で吐き出すマシーンを作っている。これが理想と現実をすり合わせた着地点だよな、と思いながら。