競走馬の思い出

1998年、ぼくは当時中学2年生だったんだけど、80年代の終わりからはじまった競馬ブームは黄金の世代によって今まさにピークを迎えようとしていた、と記憶してる。いろんな競走馬シミュレーションゲームが出ていたし、たとえばダービースタリオンとかギャロップレーサーはよくプレイしたのを今でも覚えている。ギャロップレーサー、一部の馬名が使えなかったんだよね。セイウンスカイクラウドブルーで、サクラバクシンオーがハルノボンバー……オグリキャップがナルビークラウンでビワハヤヒデがシガシャルードだったかな。ナルビークラウンとかシガシャルードは当時なんのことかよくわからなかったけど、オグリキャップの母がホワイトナルビーで、キャップとクラウン両方頭に被るもの、ビワハヤヒデの父がシャルードビワハヤヒデのビワは琵琶湖のビワに由来する、ということで、おおよそ元の馬名を連想させる名前だといまならわかる。

当時はぜんぜん競馬のことをよくわかってなかったけれども、GIシーズンになれば中継を見たし、スペシャルウィークセイウンスカイキングヘイローの三つ巴の対決はよくわかってないなりにもなんとなく覚えている。

サイレンススズカ予後不良のことも覚えている。ライスシャワーのことはなんとなくくらいにしか覚えてなかったし、サンエイサンキューのことはほとんど知らなかったけど、サイレンススズカはあのめちゃくちゃ強いエルコンドルパサーに土をつけた馬で、しかも当時のぼくの知識でも大逃げした馬が逃げ切って勝つなんてことそうそう通用するものではないということはわかっていて、だから毎日王冠は衝撃的だったし、秋の天皇賞もショックだった。

翌年の中心はスペシャルウィークグラスワンダーエルコンドルパサーステイゴールドだった。ステイゴールドは毎回勝ってほしいと思いつつもなかなか勝ちきれない、そんな感じが魅力の馬だった。ステイゴールドが引退する頃には実は競馬をそんなには見なくなっていたので、彼が引退レースに香港GIを選んで、有終の美を飾ったことを知ったのも後になってからだった。

スペシャルウィークグラスワンダーエルコンドルパサーもみんな話題になったけど、セイウンスカイ古馬になってからは大きいところは勝ちきれず、キングヘイローもいいところがない、というのが続いていた。キングヘイロー高松宮記念を勝つ頃には、ぼくは競馬をそんなには見なくなっていた。

当時のぼくのタイムスパンだと、競馬というのはGIとGIの間が長いようでいて、一頭の競走馬が活躍する時間はあまりにも短い。思い入れのある馬が次の年にはもういなくなっている。だから、スペシャルウィークエルコンドルパサーセイウンスカイの名前を見かけなくなったところで、そこでなんとなく自分の中でブームが終わっちゃったんだろうと思う。

キングヘイローをなんとなくいいな、と思うようになったのは、その後、競走馬SLGをやるようになってからだったと思う。
競走馬SLGをプレイするようになって、血統というものを意識するようになった。なった、とはいっても、確かプレイしていたのはダビスタで、父馬の名前はよく覚えてなくて、なんとか系とかそういうのだけ抑えている感じだった。ナスルーラ系は気性が荒いとかそういうの。
ナスルーラ系を使ってよく勝つことがあったのでナスルーラ系は結構思い入れがあるんだけど、キングヘイローノーザンダンサー系。なんでキングヘイローがいいなと思ったかというと、母の父がヘイロー。ヘイローはヘイルトゥリーズンの子で、サンデーサイレンスの父だ。だから、キングヘイローはサンデーの血は持ってないけど、ヘイローのクロスがつけられる!
と、まあ、なんとも現金な理由だったけど、ヘイロー、グッバイヘイローキングヘイローという血のつながりがなんとなくいいなと思ったのも確かだった。ダンシングブレーヴのことはあんまりよくわかってなかったけど、リファールはけっこう好きだった。

ギャロップレーサーではクラウドブルーが好きだった。セイウンスカイのことがやっぱり好きだったんだよな。まず芦毛が好きだった。ナルビークラウンもシガシャルード芦毛だった。

一昨年くらいから、なんとなく競馬をまた見るようになった。アーモンドアイの活躍もあったし、ちょうどちょうどコントレイルの京王杯のレコード勝ちを目の当たりにした、というのもあって、そこから毎週追うようになった。コントレイルはディープインパクトの最高傑作になる予感がしたし、サリオスの朝日杯もしびれた。実際にコントレイルはそこから無敗三冠を達成したし、サリオスもGIこそ朝日杯以来勝ててないけど、古馬相手に堂々とした走りを続けている。
二頭のライバル対決を見てなんとなく自分が一番競馬を見ていたときのことを思い出したりもした。

競馬見てなくてもディープインパクトがすごい馬だったこと、ウオッカがダービーを勝ったこと、北島三郎の馬キタサンブラックか大活躍したこと、とかはわかるくらいではあったんだけど、あらためてウイニングポスト9をやって、90年以降の日本競馬史がどうなっていったのかを、そこではじめてちゃんと理解した。

サンデーサイレンスが席巻したことはわかっていても、今のリーディングをディープインパクトキングカメハメハが長年争い続けてきたことまでは知らなかったし、キングカメハメハ産駒にロードカナロアアパパネといったすごい馬がいることももちろん知らなかった。キングカメハメハの父がエルコンドルパサーの父キングマンボだということも知らなかった。オルフェーヴルは名前はわかるけど、ステイゴールド産駒なのも知らなかった。ステイゴールドきみ種牡馬としてめっちゃ成功してるんやな……!

グラスワンダーには孫世代にモーリスという名馬がいる。スペシャルウィークは後継種牡馬をあまり多く出せず、リーチザクラウントーホウジャッカルくらい。リーチザクラウンはなかなか健闘しているけれども、自身の後継はいまだ出せてない。トーホウジャッカルはこれからだと思うけど、けっこう苦しいと思う。
セイウンスカイは……もう父系は残っていないらしい。母の母の父に名前を見つけた。ニシノデイジーニシノフラワーみたいな名前だな、と思ったら、母の母の母がニシノフラワーセイウンスカイニシノフラワーのひ孫!? ホープフルステークス3着、ダービー5着、セントライト記念5着、以降は入着もできていないけど、なんとかがんばってほしい。父系としては血を残せなくとも……。

せめてゲームの中では、と思って、セイウンスカイビワハヤヒデの子をめいっぱい走らせたりしている。テイオーの子を走らせたりマックイーンの子を走らせたり、っていうのもやっていた。トウルビヨン系、なんとか存続してほしいよね……って思ってる。

ウマ娘は、ダビスタみたいにオールスターレース方式なんだけど、シナリオは史実ベースで、ウイポダビスタのいいとこどりみたいな味がある。競走馬SLGはもうちょっとそのへん淡白なんだけど、ウマ娘はがっつりストーリーでライバル関係を演出する。黄金の世代にキングヘイローもいたんだよ……!

と、キングヘイローでURAファイナルズを突破できたので、なんとなく思い出したりしたことを書き留めてみたかったので書いた。

特にオチとかはないです。