モンスター娘の純愛ジャンル

これはdlsiteに限らなければ、モンスター娘ものというジャンル中で純愛ものはそんなに稀有なものでもないというかむしろ王道ジャンルだったりしていて、それこそモンスター娘のいる日常が商業化する前からの流れの一つである。ゼロ年代はたとえばGALZOOアイランドが2005年に出てそれなりにヒットし、どちらかといえばモンスター娘をヒロインにし、モンスター娘とイチャイチャする作品のほうが主流だったと思う。負ける作品がなかったかというとそんなことはなく、サキュバスエストのツクール2000版が出て間もない頃、多数の淫魔に負けて搾り取られるGORというジャンルのゲームがアンダーグラウンドで作られていたし、同じ流れを汲んで魔物娘図鑑もこの頃に出てきた。これがモンスター娘に負ける現在のdlsiteの主流の流れに繋がっているのだが、サキュバスエスト自体には勝ちも負けも両方あるし、テーマは愛だったわけだから、いくつかあった傍流だと思っているし、dlsiteではそれが主流になった、という見方をしている。

モンスター娘のいる日常のほか、ほりとも作品なんかも純愛ものだが、ほりとも氏自身は2010年以前には触手ものがメインで、モンスター娘との純愛ものとしてシッポの話もあるが、テンタクルバージンではシッポが触手にぬたぬたにされる話を描いていたりしており、方向性としてモンスター娘との純愛ものをやっていくようになったのはその二作よりも後の話、2010年代に刊行された作品からである。が、連続的かどうかはともかく、商業ベースではモンスター娘の純愛ものが少数派ということは全然なく、これ以降は、恋愛要素をメインにしない日常作品が描かれるようになり、それらがアニメ化する程度には一般的になっていく。亜人ちゃん、セントールの悩み、メイドラゴンなどを見て、モンスター娘ものの主流がモンスター娘に絞られるジャンルだとはふつう考えないと思う。そうなってるのはdlsiteだけ。

dlsiteはそういう特殊な環境下にあるので、はっきりとモンスター娘の純愛ジャンルは、主流でなく傍流として存在している。木工用ノスタルジィやだぶるす・こあは明確にその方向性をやっていこうとしているのがわかるし、好きなことをやるのが同人だから、そうであってほしいと思うが、今のdlsiteにはあんまり多様性がないよねということを思う。まあそもそも純愛もの自体がもう商業エロゲでさえ衰退しつつあるのだが……まあ和姦には性的倒錯がなくて抜けないみたいな話はそれはそれでわからなくもなく、一旦性癖が指向性を持つとフラットな性癖がから滑りするようになっていくというのは自身でも体験していることだから、嗜好が先鋭化した今のdlsiteではある意味仕方がないところがあったりはするなあと思う。他にプラットフォームもないけどね。FANZAはもっと伸びるかと思ったけど、同人ゲームに限ってはそうでもないし。

なければ自分で作るしかないねえという気持ちで作っているサークルはたくさんあるので、本当にありがたい話やねと思っているし、自分が求めるものはやっぱり自分が作るしかないよなと思っているので、自分も作りたい、やっていこうと思う。