ゲームのUIデザイン

自分はデザイナーではなくプログラマにすぎないのでこれは独学と私見に基づくものであることをあらかじめ了承されたい。

タイポグラフィ

メッセージテキストのフォントはゲームの雰囲気を少しだけ変えるのに役立つ。勘違いしやすいが、大きく変えるものではない

メッセージテキストの役割はユーザーにメッセージを読ませるためのものであると当時に、素のトーンを決定づける要素でもある。

素のトーンとは何かというと、たとえばゲームのタイトルロゴは素のトーンから離れたものであるほど印象的になる。翻せば、タイトルロゴと同じようなフォントでメッセージテキストが描画されているような場合、タイトルロゴとメッセージテキストとの間に差異がない、ということになる。タイトルロゴは本来目立つべきはずなのに、メッセージテキストがその邪魔をしてしまっている!

そんなわけで、メッセージテキストは目立たないがほんの少し印象づけをするようなフォントを使うのがよい。メッセージテキストはゲーム中一番長く見るものであるから、一番長く見て飽きないフォントが好ましい。個性的なフォントは飽きるか慣れる。慣れた個性的なフォントは単に野暮ったい、ということは、創英角ポップ体や Comic Sans でよく知っていると思う。

UIの中でパーツの見出しになるような部分は、タイトルロゴほどでないにせよ、その画面の中では優位だから、個性的なフォントを使うとよい。UIもまたゲームを続ける上でずっと見続けるが、メッセージテキストほどではない。合間合間で目にするときに印象的に感じるようなものがよい。それがゲームの顔になる。普段ずっと見続けているものより、たまに見て目立つもののほうが印象に残りやすい。その差別化のためにも、メッセージテキストのようなものは目立たないように、見出しやタイトルは目立つように、コントラストをつけてあげよう。

色調

ゲームの印象はタイポグラフィ以上に色調で決まる。当然ながらポップな色合いはポップに感じるし、淡い色合いには爽やかさや寂しさを感じる。ダークトーンには重厚さや陰鬱さがある。ポップであっても、黄色と黒の組み合わせは注意喚起のイメージを持つから、ポップでありながらもどこか不穏さがある。

フォントも色調に合うものを選ぶのがよい。どういう雰囲気にしたいのかで色を決め、フォントを決めるとよいだろう。

順序と位置づけ

人間の視線の動きに沿って順序立てて要素を配置する。同じ属性の要素は同じ位置に集める。ごく当然のことだが、なんとなく画面のおさまりが悪いからといって画面内のいろんなところに要素を配置しがちである。こうなるとプレイヤーの視線が上下左右に行き来して疲れてしまう。見てほしいものを目立たせ、そんなに頻繁に見なくていいものは目立たせない、それだけのことを守ればプレイヤーにとって馴染みやすいUIになる。

余白と整列

余白によって区切られ、整列した要素はひとまとまりに見える。余白と整列によって要素がグルーピングされる。逆に言えば、余白によって他と隔てられていたり、整列を乱されているような要素は目立つ。目立たせたい要素の配置を工夫するときは、この二点を意識するとよい。

味付けは後回し

優れたUIは無個性でも整然として見える。まずはこの状態を目指すべきだろう。味付けを最初からやろうとすると整合性を取るのに苦労しがちだ。ありふれていて地味に見えても、そこからはじめるのが正しい。

UIはユーザーのためのもの

我を通そうとしない。UIはユーザーのためのものである。そこを逸脱して見栄えだけを整えても、よいUIにはならない。

手本を見て真似る

世の中には優れたUIがたくさんある。真似て構造を理解することがよいUIを知る王道である。自身の頭の中のイメージで作ろうとする前に、まずは観察するべきである。