ウルトラヴァイオレットの不思議

紫外線を意味する UV は ultraviolet の略なんだけど、この単語よくよく考えるとけっこう面白い。

ultra はラテン語由来、violet もラテン語の viola が由来ということで、ラテン語由来の言葉同士を組み合わせた複合語になっている。

さて、ラテン語にはもともと u という文字はなく、母音 /u/ と 半母音 /w/ を区別するために v を u と v に分離したという経緯があり、もともとは /u/ の音をあらわすために v を使っていた。

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CAESAR AVGVSTVS と刻印されたコイン(左)と DIVVS IVLIV と刻印されたコイン(右)

現在でもたとえばイタリアの高級ブランドのブルガリはこれにならって BVLGARI を正式な表記としているし、様々なところで使われている。

ultraviolet も昔のラテン文字で表記するなら、vltraviolet になり、略語も UV でなく VV ということになって、ちょっと面白い。

ちなみに W は UU または VV のいずれかに由来すると考えられているが、現在のところどちらであるかははっきりわかっていない。

ところで右のコインを見ると IVLIV と書かれているが、これは何かというと Julius のことである。J も中世以降に成立した文字で、もともとは I を使っていたのが、半母音 /j/ をあらわすために I から J が分離した、という経緯がある。

普段は英語のアルファベットを見ることが多いのであまり考えないが、同じ文字でも言語であわらす発音が違っていて、それがこういう形で可視化されたりする。それが面白いね、というだけの話。

こちらからは以上です。