異世界ジャガイモ論争

結論からいうと「気にしないで自由に書いてよい」で終わってる話なんだけど、自分の考えを整理することには意味があるので書いておく。

論点がいくつかあるので、論点ごとに絞って書いていく。

中世ヨーロッパにはジャガイモはない

いわゆる中世風世界は必ずしも中世のことを指していない、大航海時代以降はジャガイモが伝来済み(実際に食用とされるようになったのは浅い時代ではある)、ので、指摘するなら「それを中世と呼ぶな」のほうが妥当。「中世風」というラベルの是非については今回は本題ではないので割愛する。書き手が「中世風」を名乗ってなくても読み手が「中世風」にラベリングすることはあるし、それは読み手の自由ではあるので。

仮に本当に中世くらいの水準の世界を舞台にして書いていたとしても、別にそれが地球の歴史上の中世ヨーロッパをモデルにしただけで実際に地球の歴史上の中世ヨーロッパそのものが舞台になっていないのであれば、ジャガイモが出てきても別によかろう、だって地球じゃないんだもの。

次に出てくるのがジャガイモが出てくるんだったらジャガイモによってもたらされる影響を考慮すべきという指摘。しなくていい。異世界のジャガイモが地球上のジャガイモとどうして同じになると言えるのか。この世界ではジャガイモはこういうものですといって終わり。

異世界にジャガイモはない

異世界なんだから地球と同じ作物があるのはおかしい。その話をすると異世界に地球と同じ人間がいるのはおかしいってならん? なるので終わり。

異世界ジャカルタはない

うわ面倒くさいこと言い始めた。 ジャガイモの語源には諸説あり、そのうち一つに「ジャカルタのイモ」を意味する「ジャガタライモ」がある。ほかの説に「ジャワのイモ」を意味する「ジャワイモ」があり、これも地名に由来している。なので「ジャガイモ」があるなら「ジャカルタ」があることになってそれはおかしいとなる。 こんなの「異世界の言語では別の名前で呼ばれているが作中では日本語に翻訳して記述している」で終わり。終わり終わり!

そもそも諸説あるんだからなんらか異世界の言葉に由来するものがなまって「ジャガイモ」になったって言ってもぜんぜんよい。この論理は最強なので「サツマイモ」だろうが「ホウレンソウ」だろうが「ピーチ」だろうがなんだろうが全部これで説明してよい。

なんなら別に異世界に「ジャカルタ」という地名があってもいい。異世界ほぼ「東洋」にアジア風の地域が登場することを思えばこんなの名前の問題でしかない。

それでも「ジャガイモ」という名前を避けるなら

単に「イモ」でよい。

「サツマイモ、サトイモと区別つかないじゃん」と思うかもしれないが、イモを区別する必要がなければ単にイモと呼ばれてるほうが自然まである。

区別する必要があるとしても、その場合は「なんとかイモ」で足りる。だってイモなので。たとえばアトリエシリーズでは、アーランドでは「カタイモ」、不思議では「土いも」が登場するし、本好きの下剋上では Kartoffel をもじった「カルフェイモ」という名前でイモが登場する。「なんとかイモ」の汎用性は高い。

まあなので、いくらでもやりようはある。その作品にとってやる意味があるかどうかのほうが大事だけど、意味があるならちょっとした名前づけで終わることもある。

おわり。