個人ウェブ礼賛

この記事は どもがよアドベントカレンダー2022 の2日目の記事です。1日目はヴぃさんの Among Us部サーバー 今年流行ったもの でした。どもがよの今年一年のトレンドがまとまっててわかりやすい。そういえばこんなのあったな~と思い出してしみじみしていました。


Twitter が終わるかもしれない」

イーロン・マスクはそれまでの Twitter を破壊した。これは確かだと思っていて、よきにしろ悪しきにしろ、これから変わっていくだろう。

マスク体制について、個人的にはそこまで深刻には感じていなくて、その結果 Twitter の立て直しに失敗してサービスの終焉を迎えたとしても、後に振り返ってみれば結局は時代の要請だったということになるんじゃないかと思っている。

今日書くのは個人ウェブの話。Twitter が終わるかもしれないからというわけではなく、この一、二年の間に個人ウェブへの回帰を強く意識するようになった。マイクロブログから SNS を経て「世論のプラットフォーム」なるうさんくさい何かになりつつあった Twitter を見れば、自分の情報発信の足場は、自分が管理できるものでなければまずかろうと思ったというわけ。

あおたくの個人ウェブ

自己紹介を兼ねて、今のあおたくの個人ウェブについて紹介する。

  • Alias over the Azure
    2004年に開設した個人ウェブサイト。サイトの名前も URL も、自分のハンドルネームさえも当時からは変わったけれど、ここをベースに情報発信をしてきた。昔はドット絵掲示板が置いてあったりしたし、コミケへのサークル参加情報もここに集約されてきた。一時 Wordpress によって管理されていたことがあるが、Wordpress の DB 破損によって吹き飛んでしまったのがかなしい。
    今は半手書きの HTML のサイトになっている。

  • あおたくノート
    個人ブログで、いわゆるテックブログとしての役割を担っていた。Tumblr の投稿フォームの日本語入力が壊れたため、使わなくなった。

  • あおたくメモワール
    現在の個人ブログ。今見てるもの。もともとはあおたくノートに書かない雑多な記事を載せる場所だった。最近は Twitter の居心地の悪さを感じるようになったため、好きなように書くために更新してもその旨を Twitter に投稿しないようにしている。特に解析などはしてないが、肌感としては、「読者」機能によってこのブログの読者になっているユーザ以外が読んでいることは稀なように思う。

  • 半文庫
    あおたくが書いた小説を載せるための個人ウェブサイト。これで「なかばぶんこ」と読む。なろう、カクヨムといった SNS 的機能を備えた小説投稿サイトでの掲載をやめるにあたって今年10月に新設した。小説投稿サイトの利用をやめた理由は、自分が読者とのコミュニケーションを望んでいないことを自覚したため。
    静的サイトジェネレータにより、原稿ファイルから自動で HTML に変換してサイト全体を構築できるようになっている。原稿には Lazri という自作の軽量マークアップ言語を使っている。
    2006年に書いた小説が載っているという意味では個人ウェブサイトよりも自分の歴史を集約した場所といえるかもしれない。

  • Lunatlazur
    あおたくが所属するゲーム製作サークル Lunatlazur(るなとらじゅーる)の公式ウェブサイト。個人ウェブではないが、実質的に自分が作ったゲームを公開する場所になっている。
    なお、ゲーム製作に関しての近況発信には Ci-en を使っている。これにはいろいろ理由があるが、ひとつには NSFW な情報を取り扱うためというのがある。広告を掲載せずに NSFW な情報を発信するための場所としては、現状だと Ci-en や FANBOX、Fantia といったクリエイター支援プラットフォームがベターっぽい*1

個人ウェブのススメ

2022年の今になって個人ウェブを持つということについて。
「ウェブ上の自分」が存在するための足場が、アクセス可能なウェブ上に存在していることに意味がある。できれば持続可能なプラットフォームを選択するのが望ましい。
一番勧めたいのが個人ウェブサイト。Yahoo ジオシティーズや infoseek といったホスティングサービスが死んだことでかなりの数の個人ウェブサイトが滅びて久しいが、今は Google Firebase Hosting や Netlify といったホスティングサービスが充実している。最初から HTTPS が使えて安全、CDN*2 による配信になるので高速で安定、といった利点がある。
次の候補は個人ブログで、今現在までサービスが続いているレンタルブログはおおよそこれからも死なないので、これを使い続けていいだろうと思う。livedoor ブログさえ、今は運営が LINE に変わっているがちゃんと生き延びているので。ただし FC2 はどうなるか謎。note は経営が思わしくなさそうなのであまりおすすめしない。ブログはその時々の情報を発信するのに向いていて、コンテンツを積み上げる場所としては適当ではない。コンテンツの集約が目的なら個人ウェブサイトのほうが理にかなっている。

たとえ個人ウェブに回帰しても、個人ウェブは交流の場たり得ないだろうとは思う。Twitter が日本に上陸する以前、Pixiv やニコニコ動画がサービスを開始する以前、個人ウェブはすでにコミュニケーションの場ではなくなりつつあった。個人ウェブサイトの掲示板へのスパムボットの攻撃により、これらが機能しなくなったというのはもちろん要因としてはあるが、そもそも個人ウェブサイトの管理コストを払えるだけの時間的余裕のあるユーザが減った、ということが大きい。管理人のいないサイトには誰もやってこない。交流は MSN メッセンジャーを通じて個人間で行われるようになった。Skype を経て現在は Discord がそのようなツールになっている。

逆にいえば、その頃から個人間の交流はメッセージングツールが主体であって、SNS ではなかったということでもある。SNS がなくなっても、人と人のコミュニケーションは「友達の友達」を介したアナログなネットワークで行われる。それはおそらく今後も変わらない。

では今、2022年に個人ウェブを持つ意味とはなんなのか。きわめて個人的な感想を書いておく。

「個人ウェブ時代から知っている 打撲 さん*3 が今も個人ウェブを持っているのがとてもうれしい」

個人ウェブの始め方

では、これからどうやって個人ウェブをはじめるのか、という話を、次回、したい。

  • いちばん簡単な HTML の書き方
  • Markdown を書いて HTML に書き出す
  • Google Firebase Hosting で作る個人ウェブサイト

どもがよアドベントカレンダー3日目の記事は彩緋さんです。たのしい記事が書かれることを楽しみにしつつ、今回はここまで。

*1:なお、広告付きのブログサービスなどを使って NSFW な情報を発信するには年齢制限の設定を行う必要があり、その場合出てくる広告は煽情的なものになりやすい。自分のコンテンツの価値を下げると思う

*2:コンテンツデリバリーネットワーク。配信用サーバにキャッシュを配置し、そこから閲覧ユーザにサイトを配信する。サイトが置かれるサーバへの直接的なアクセスが減るため、サーバ負荷が少ない。DOS 攻撃への対策になるし、サーバ負荷によって配信が遅いということも防げる。最近のホスティングサービスはこれを売りにしているので最初から備わっていたりする

*3:mixi からの知人で、実はそれ以前から HTML/CSS 界隈で存在を知っていた