仙郷物語 レビュー

仙郷物語っていう中華ファンタジー風の牧場物語風のゲームを遊んだのでレビュー。
メインクエストクリアまでプレイ。各キャラの好感度MAXとかはまだやってません。

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よかったところ

中華ファンタジーということで、農作物が中華料理とか錬丹とかに寄った内容になっています。特に玉稲(米料理用)と糯米(餅用)に分かれていたり、豆が金陽豆(醤油や豆腐、もやしなどの加工用)とトウアズキ(甘味用)と氷翼豆(料理用)に分かれていたりというところはこの作品ならではかもしれません。こういうところの雰囲気はよかったです。

カレンダーも二十四節気になっていて、一節気3日、一季節に6節気で一季節24日、一年で96日です。一週間6日、一季節5週間だと一年で120日なので、それよりはちょっと短いです。短いので季節が変わるのが早く、むしろこのへんはテンポがよかったかもしれません。ちょっと短いだけなんだけど結構違う。

ゲームシステムも、中盤で解禁されたでっかい作物を育てるあたりは楽しかったです。

グラフィックもBGMも作品の雰囲気をよく表現できていると思います。

キャラクターはそれぞれ結構ちゃんと個性が出ています。キャラ名にカタカナで読み方が併記されているのがありがたい。これなかったら名前覚えるのしんどかったと思う。

エンディングまでプレイした結果ストーリーはかなりよかったです。惜しむらくは翻訳が終わっていて没入感が削がれまくったことですが、ストーリーライン自体はよくできてたと思います。

よくなかったところ

序盤はそれなりに密度があるんですが、ゲーム中盤から終盤にかけてやることが少なくなって同じことの繰り返しになってしまうつらさがありました。特に最終段階にレベルアップするのに必要な経験値が30万なんですが、畑1マス収穫して手に入る経験値が20くらいで畑全面に作物を植えるとだいたい4~500個で、全面収穫してやっと1万です。これを30回やる必要があります。即成長させるアイテムがあるのでそれ使うとしても、植えて収穫するだけで10分くらいかかるので、単純計算で300分。実際には作物を売ったり種を買ったりで移動する時間も発生するし、好感度のためにあいさつ回りしながらだったのもあって10時間くらい経験値稼ぎに費やしました。つらかった。最終段階にレベルアップしないと最後のクエストを進行させられない、エンディングを見るためだけに脳死で作物を植えて収穫してを繰り返したので本当にこのゲームのことが嫌いになりそうでした。

ゲームをクリアしたらクリアしたで別にやらなくてもいいか、となってしまったので、うーん。作ってない料理作ったり衣装集めたりハウジングだったりとかやることはあるんですが、まあ別にいいかな……。ただ、何に追われるでもなく気ままに作物植えて料理作って宴会開いてみたいなのができるようになったのでクリアしてレベル上げから解放されてよかったねとは思います。

翻訳の出来は本当にひどくて、おおよその箇所で書いてあることの意味はわかるけどそのキャラに合った文章にはなっていないという状態で、クエストに必要なアイテム名が表記ゆれしまくっていて実際に渡しに行くまで何が必要なのかわからないみたいな割とゲームプレイ上困るやつもありました。まだ英語版のほうがプレイしやすいのかなと思わなくもないんだけど、Anima Fruit から Qingling Fruit Wine が作れるとかは英語版のほうがわかりにくそう。Anima Fruit は日本語では清霊果と表記されていて、Qingling Fruit Wine は清霊果酒です。つまり前者は意訳で後者は音訳なんですね。まあ日本語でもこういうのは結構ある。中華ファンタジーなので中国語勉強して中国語でプレイしたほうがそのあたりの体験はずっとよいと思います。日本風に翻訳したせいで雰囲気が損なわれている箇所とかもけっこうあるし。ただ翻訳は別にこの価格帯のゲームだとだいたいこうなのでそこまで期待してないし、プレイできないほどではなかったし、経験値稼ぎのしんどさに比べるとまったく苦ではなかったです。こういう評価になっちゃうくらい、終盤の作業感がきつかった。エンディング見たかったからやったけど……。

あとは全体的にただ移動してるだけの時間が多かったです。100時間くらいプレイしたんですが、そのうち6割くらいは移動してる時間じゃないかな。ファストトラベルぽい機能もなくはないんですが、基本的には拠点から行き先までの一方通行で、帰りは徒歩になる。これがしんどかったし、結局ほとんど使わずに歩き回ってた気がする。これくらい移動してから思うんだけど、そもそも畑と家も遠いですね。家出て目の前が畑でいいじゃんって感じなんですが、一画面くらい離れてる。

あんまり比べてもな……とは思いつつも、これクリアしてからハーヴェステラプレイしたらハーヴェステラめちゃくちゃ面白くてびっくりしちゃった。ハーヴェステラ、探索とか戦闘がちゃんと面白いんですよね。みためはアクションRPGな割にアクション要素がうすくてダメージレースになってるところもむしろゲームバランスの調整上正しいようが気もします。ちゃんと回復アイテムを持ち込まないと探索がきつくて、その回復アイテムを作るために作物を育てる、というサイクルがきっちりハマっている。仙郷物語は回復手段に乏しく、自分で回復アイテムを用意しようと思うと中盤以降で、しかも要求される素材の量と作成時間の消費が重すぎて、これだったら金で回復アイテム買ったほうが楽、となってしまうし、プレイヤースキルがあればそこまで回復もいらないし、みたいな感じ。ハーヴェステラはハーヴェステラで牧場物語を引き合いに出されて出来が悪いって言われてるんだけど、ぜんぜんそんなことないですよ。クラフト要素があるRPGとして見るとめちゃくちゃよく出来てる。牧場物語だと思ってプレイしてはいけないし、牧場物語がやりたかったら牧場物語をやりましょう。

話を仙郷物語に戻すと、独立系でこれだけのゲームを作って完成させるのは素直にすごいんだけど、このゲームに2000円出して100時間費やすのは正直あんまりおすすめではないです。中華風の雰囲気を味わいたいだけだったら最初の10時間くらいで充分ですね。それ以上やんなくてもいいと思う。

こちらからは以上です。