これまでにぼくが聴いてきた音楽の、その作り手が今ぼくの好きなコンテンツにかかわっているということについてちょっとまとめておきたい。
山本美禰子
ロックバンド「ジギタリス」のボーカルで、ジギタリスとしてはもう活動していないが、2010年代にはゲームの主題歌、特にアトリエシリーズで歌手として、作詞・作曲家としてかかわってきた。
ロロナのアトリエが出たのが2009年で、ジギタリスの3rd『Ars Magna』が2010年なので、このあたりが転換期だったのかなと思う。
山本美禰子名義の曲で好きなのはリディー&スールのアトリエの『マスターピース!』。なのだが、これは不思議三部作を通してプレイした上での体験というのもあるので、単体でも好きだがやはり不思議三部作をプレイしてほしいと思う。
ジギタリスの曲は、なんというかジギタリスにしか作れない曲だと思う。代替可能なバンドは過去にも現在にもなく、これからも出てこないだろう。Nomadic Records 時代のアルバムはサブスクリプションでの配信もないし、今は視聴が困難になってしまっている。
1stアルバム『奇妙な肖像』収録の『届かないドア』。
2ndアルバム『Syzygia』収録の『ヘキサグラム』。
山本美禰子の表情豊かな歌声がこのバンドの最大の個性だが、リードギターがボーカルと組み合わさって重層的な音を作っている。
3rdアルバム『Ars Magna』は Spotify で全曲聴くことができる。Spotify ご利用の方は聴いてみてほしい。
1st、2nd からも更に一歩飛躍したジギタリスの世界が聴ける。これが最後のアルバムであることが本当に惜しい。
江口亮
この名前を見ただけでピンと来る人は相当アニメソングに詳しい。詳しいというか、アニメソングの編曲家までよく見ている人じゃないと覚えてないんじゃないかと思う。「いきものがかり」のサウンドプロデュースをはじめ、さまざまなアーティストの楽曲の編曲を手掛けており、近年では「LiSA」の『一斉ノ喝采』が氏の編曲による。アニメやゲームだと「東のエデン」のエンディングテーマ『futuristic imagination』、「Fate/Grand Order」の『色彩』、「Selector Spread WIXOSS」の『world's end, girl's rondo』など、など。
『futuristic imagination』といえば「School Food Punishment」である。江口亮氏は SFP のサウンドプロデューサーで、作・編曲を共同で担当した。
SFP の楽曲はいくらでも並べられるが、せっかくなので氏のバンド「Stereo Fabrication of Youth」の曲にしよう。
ミニアルバム『Lifedoor』収録の『シリウス』。このライブは2013年のものなので、メンバーは江口亮氏以外はオリジナルではない。「リツオ!」と呼ばれてギターを弾いているのが後述する三井律郎氏である。なんか最近急に有名になった。
2005年の楽曲だが、今聴いてもなかなかいいんじゃないかと思う。一方で、このバンドがメジャーになれなかった理由もわかるというか、もう一つ突き抜けたものがほしかったというところはあるかもしれない。それでもこの時点でも音作りには氏のセンスの片鱗が感じられる。
現在は SFP のボーカル内村友美氏とロックバンド「la la larks」で活動中で、前述の三井律郎氏もギターを担当している。
la la larks のアニメタイアップ曲を三曲ダイジェストで聴ける動画が公式から配信されているのでこちらを紹介。
編曲に江口亮氏がかかわっているしストリングスアレンジも SFP でストリングスアレンジに携わった石塚徹氏なので、SFP の活動後期の作品とは作風が似ているところがあるが、『色彩』とか『ハレルヤ』はわりと新境地の曲だなと思っている。「la la larks」は寡作のバンドでアルバム1枚だけだし、もっとたくさん聴きたいと思うのだが、活動方針としてそんなに急がずにやっていこうということらしいので、気長に今後の活動を楽しみにしようと思う。
三井律郎
とりあえず気持ちいいギターを聴いてほしいので「LOST IN TIME」の『30』を。
LOST IN TIME、ボーカルの伸びやかで朗らかな声がとてもよいし、そこにリードギターの奏でるメロディがきらめいてすばらしい。三井律郎氏はサポートギターを経て2013年に加入。
三井律郎氏がギター上手郎氏であることはわかったと思うので、
更にギターを聴いてもらう。ギターの音がよすぎる。
このブログでも以前書いた が三井律郎氏というのはテレビアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の主題歌をはじめとしたほとんどの楽曲の編曲、及びギターの演奏を担当したギタリストである。ほとんど、というのは『ギターと孤独と蒼い惑星』、『ラブソングが歌えない』と「Sick Hack」の『ワタシダケユウレイ』は氏の編曲ではなく、元「ハートバザール」の akkin 氏が手掛けている。それ以外は三井律郎氏による。
ギタリストとしてすごいことは言うまでもないが、編曲も、原作があってストーリーがあっての中で、その要請にきっちりこたえる音作りをしている。プロの仕事を感じる。既にこのあたりのことは以前書いているが、12話のボトルネック奏法のためにそれで成立するようなアレンジに仕上げたというのが本当にすごい。
その『星座になれたら』には弾いてみた動画もある。
自分で弦を切って頭を抱える異常行動で笑ってしまった。
「ギターヒーローへの道」でアレンジのアイデアがポンポン出てくるところも見応えがある。
実際にこれだけ引き出しがあるギタリストだからこそということなんだろうと思うし、やはりそれは、様々なバンドでギターを弾き、サポートギターとして数々のアーティストを支えてきた経験の積み重ねがあるからなんだろう。 The Youth も LOST IN TIME もステファブも la la larks もぜんぜん違うバンドだし。
青山吉能さんのギターの上達ぶりもびっくりするので興味ある人は初回から通してみてほしい。マジですごいので。
ちなみにステファブの現在のドラムは School Food Punishment でドラムを務めた比田井修氏で、最近は緑黄色社会のサポートドラムとして活躍中。「ぼっち・ざ・ろっく!」でもドラムの演奏を担当しており、8話の『ギターと孤独と蒼い惑星』のもたついたドラムは氏の演奏による。もたついたドラムの再現うますぎひん……?というのと、紅白に出るようなバンドのサポートドラムにこんなことさせるの贅沢~というのがある。ていうか虹夏のドラムをこんなイケオジが叩いてるの渋すぎるでしょ……。
ところでぼざろに登場する未確認ライオットというフェスは未確認フェスと閃光ライオットが元ネタと思われるが、閃光ライオット2013の準グランプリが「緑黄色社会」で、ぼざろのアニメでも「緑黄色野菜」という逆にストレートな名前になっちゃったバンド名が登場している。
というわけで、2010年前後に聴いていた音楽とそれを手掛けたアーティストがその後の自分が好きになったものにかかわっていることを知ったらびっくりしてしまうということをあらためて振り返ってみた。LOST IN TIME とかステファブとか当時は聴いてなかったし、今後聴いていきたいねという感じ。
今回はここまで。