ルタバガを食べる

この記事は どもがよ Advent Calendar 2023 の23日目の記事です。22日目の記事はりみっとさんの 2023年謎解き公演振り返り でした。りみっとさんとは昨年末から謎解きでご一緒させてもらって楽しい思いも悔しい思いもたくさん味わいました。机の上の魔王城おもしろかったですね。謎解きご興味ある方はぜひ参加してみてください。来年は謎解きじゃなくてクイズで脱出する公演があるらしいのでクイズの民としてはこちらもたのしみです。


それでは23日目の記事をやっていきましょう。本日のお話は「ルタバガを食べる」。ルタバガってご存知でしょうか。

食べるっていうくらいなので食べ物なんですが、スウェーデン原産の、カブみたいに根茎が塊状になる、カブみたいな野菜です。 スウェーデン原産のカブみたいな野菜なので、スウェーデンカブとも呼ばれます。西洋カブとも呼ばれます。
ただ、日本語の指すカブとは微妙に違っていて、日本人がよく食べるカブはアブラナ属カブ種の野菜、ルタバガはアブラナ属セイヨウアブラナ種の野菜で、種レベルで異なっています。
じゃあヨーロッパにはアブラナ属カブ種のカブが存在しないかというとそんなことはなくて、アブラナ属カブ種にヨーロッパカブという野菜があり、紛らわしいことにこれも西洋カブと呼ぶことがあります。
ロシア民話の「おおきなかぶ」のカブや「ジャック・オー・ランタンはもともとはカブが使われていた」という話のカブが指すものとしては、ルタバガないしヨーロッパカブとのことなので、こういうときは西洋カブと一緒くたにしてしまえるかもしれませんが、今回のお話するのはルタバガのほうです。

1916年冬、ドイツでは開戦からの食糧不足に加えてジャガイモの大凶作が重なったことで、パンもジャガイモも食べられないほど困窮する事態になり、飼料用の野菜を食べて飢えをしのいだと言われています。「Steckrübenwinter(シュテックリューベンヴィンター)」、日本語では「カブラの冬」と訳されますが、カブラと訳されている Steckrübe の正体が、ルタバガでした。
戦時下のドイツの飢えと貧しさを思い出させるからか、戦後は生産が減少し、現在もドイツではあまり好まれないとのこと。

「ルタバガを食へ」 © GIRLS und PANZER Finale Projekt

スコットランドの郷土料理「ハギス」には、ルタバガとジャガイモをマッシュしたものを使います。

日本にも導入が検討されたことがあるんですが、当時の日本人の好みには合わなかったのかなんなのか、定着しませんでした。

ここまでの話で「あんまりおいしそうなエピソードがない」、それはそう。でも味は「ジャガイモとカボチャの中間のような食感、カブやキャベツのような旨みと風味がある」らしいので、その話だけ聞いたらまちがいなくおいしいじゃん? 一方でそれはぜんぜんカブっぽくないな?とも思う。日本で食べられるカブは水分が多くてダイコンに似ているので、そのカブの代用として使おうとするといまいち合わなさそうな感じがするし、日本に定着しなかったというのも納得できそうな気がします。

というわけで、ルタバガを食べてみます。

みます、っていうか、実はわたしは以前に食べたことがあります。当時書いていた小説の取材の一環らしい。

aoitaku.hatenablog.com

おおよそどんな味がするのかという話はもう書いてあります。なんで今またこれを書こうとしているかというと、さすがに味を忘れつつあるからというのと、あらためて食べてどんな感想を抱くのか、前やらなかった和食に調理するとどうなるのかを試したい、などの理由があります。

あらためて食べてみましょう。

ルタバガです。

ルタバガ

カブに比べるとゴツゴツしていますが、皮のテクスチャはジャガイモやサトイモとは違ってつるっとしていて、やはりカブっぽい。

上から。芯が硬い

切りましょう。

きれいな金色

断面はみっちりしていますが、デンプン感はありません。ダイコンやカブほどみずみずしくもない。ていうか硬い。

じゃあどうやって食べましょうかね。シチューやグラタンはもう試したので、それ以外。イモのような食感、カブやキャベツの風味、和食に調理……ほなあれにしますかね。

切るとこカット。

ころころ

これをオリーブオイルで炒めて、

ごろごろ

牛肉といっしょに砂糖、塩、ワイン、白だし、みりん、醤油で味付けして煮て、

ぐつぐつ

こう。

肉じゃ…じゃがじゃないが

肉じゃがならぬ、肉ルタバガ。じゃがいもに近しい食感があるのなら肉じゃがにできるじゃろう、と思ったので。

味は……砂糖、みりん、醤油の和風の味付けでも普通においしいですね。合うじゃん。食感はカブでもダイコンでもない。前食べたときよりもホクホク感がなくて、ニンジンっぽい感じ。このへんは個体差があるかも。ジャガイモとニンジンのグラデーションみたいになってるところがあり、ふしぎな食感がする。ホクホクした部分もジャガイモに比べるとやはり粉っぽさがなく、歯切れがよくて食べやすい。味としてはやっぱりキャベツっぽい。甘みはキャベツで、ほんのりカブとかキャベツの苦味がある。うん、ふつうにおいしい野菜ですね。けっこういっぱい作ってしまったが、食べやすいのでぺろっと食べちゃった。

ごちそうさまでした。おいしかったです。

皆さんはルタバガを買ったらスティック状にカットして揚げたりマッシュしたりシチューやグラタンにして食べるのをおすすめします。

いや、これは牛乳と合わせるのが一番おいしいと思います。キャベツとかカブってクリーム煮にするとおいしいじゃん? アブラナ科の野菜はだいたい牛乳と相性がいいので、これももれなく牛乳がいいというかなんならベストコンビネーションでしょう。おいしいはおいしいんだけど。まあ試してみなければわからなかったので、よい経験になりました。

今回使わなかった残りはグラタンにでもしようかと思います。

ルタバガは通販などで買うことができます。季節によってあったりなかったりしますが、春先くらいは普通に手に入った記憶があるので、興味があったらどうぞ。


明日はうのはなさんの「 3Dモデルを作った話(予定)」です。お楽しみに。