ドラゴンラヌラヌ

じゃがいもと桃とドラゴンフルーツ、炒めてココナッツミルクとカレー粉で味付けしたらふつうにカレーになると思う。

カレーは最強。


実際のところじゃがいもとドラゴンフルーツだけだったら普通に炒めものになると思う。ドラゴンフルーツの皮は茹でたり炒めたりといった調理で食されることもある。桃はカプレーゼとか生ハムのサラダとかそのへんだと割とふつうに相性がいいので塩味と組み合わせるのは悪くないと思う。

動画は映えとか意識で盛り付け重視の料理なんだろうけど、なんかもうちょっと味と食材に真摯に向き合ってほしいなとは思う。この組み合わせじゃどうにもならない、という結論ありきなのが、でも大半の人はそれで面白いと感じるからこれでいいというのもわかるんだけど、くすぐられかけた知的好奇心がむず痒いまま終わっちゃう気持ち悪さなんだよね。もうちょっと食材を掘り下げてほしい。


まあもうちょっというと珍しい料理ってだいたい珍しい食材を使った料理になっちゃいがちなんだけど、珍しい食材を使っても既存の料理は既存の料理の範疇を出ないと思う。それこそカレーは結局すべてカレーになっちゃうし。珍しい食材の珍しいところを活かした料理であればまだしも、ドラゴンラヌラヌはじゃがいものじゃがいもらしさを損ねている。でんぷん質ならなんでも代用できるというか、じゃがいもに生地の役割を担わせたことで総合的な味の評価を落としているまであるので、他のでんぷん質で生地作ったほうがマシ。じゃがいもで作ったほうが味がよくなるならじゃがいもであることに価値が生まれる。桃もドラゴンフルーツも他の果物で代替可能な使い方しちゃってる。これ本当に存在しない料理って呼べるかなあ?

組み合わせが珍しかったり食材の特徴によって唯一性の高い料理に仕上がっているならそれは個別の料理として認められるだろうとは思う。ソーキそばはラーメンとは異なる存在だし、それこそ一口にカレーといってもタイカレーとインドカレーと日本のカレーはやはり異なる料理だろう。そこいくとまだドラゴンフルーツと桃とじゃがいものカレー炒めのことをドラゴンラヌラヌと呼ぶ、は、まあ独立した料理として扱えなくもないかも?

実際のところ、調理方法自体が珍しいということはあんまりない。ハコフグを丸焼きにすることで中の身を蒸し焼きにする、みたいなのはハコフグならではの調理方法だなと思う。キビヤックなんかもかなり変わった調理方法で、実際キビヤックは珍奇な食べ物といっていい。食材自体も極めて珍しい。でもこういうものは珍奇だからこそ有名で、もはや知られてないというものは本当にとても少ないと思う。そしてこれから思いつくのも本当にむずかしいと思う。

その食材をそうやって食べるの!?みたいなのは珍しい料理に入るかなと思う。そういう意味だとたとえばアケビの果皮の料理なんかはおもろいと思う。こないだ見ておもろかったのはスイカの皮の漬物。そういう発見がほしかった。珍奇な食材の組み合わせで出てきたのはじゃがいものパンケーキでしょ。別に名前つけるほどじゃない。じゃがいものパンケーキでいいでしょ。変な組み合わせの食材を使った既存の料理にすぎないと思う。

最近話題の昆虫食なんかも別に味覚のフロンティアを開拓したりはしないと思ってる。コオロギ使って作ってんのがラーメンとせんべいだからね。きわめて素朴な調理方法であるところの素揚げのほうがまだ唯一性がある。

創作料理がいかに苦心して作られているかっていうことにもうちょっと敬意払ったほうがいいんちゃうかな、というのがごく個人的な感想だけど、まあそんなこと考えて動画回しても視聴回数は増えへんか。視聴回数至上主義みたいなのが、けっきょくテレビの視聴率至上主義と変わってへんのよな、個人で自由にやれるようになっても行き着く先はあんま変わんないよな、という、なんともいえない結論になりそうになってきたのでこのへんでおしまい。

こちらからは以上です。