ウマ娘流行ってるから競馬マンガの話するか

前にありゃ馬こりゃ馬は紹介したと思うんだけど、あらためて引用で振り返りつつそれ以外に二本くらい紹介する。

競馬狂走伝ありゃ馬こりゃ馬

ありゃ馬こりゃ馬 第1巻

ありゃ馬こりゃ馬 第1巻

ありゃ馬こりゃ馬 第5巻

ありゃ馬こりゃ馬 第5巻

aoitaku.hatenablog.com

最近馬の話ばっかりしてて馬好きなんだろうなっていうのは伝わってると思うんですが、ぼくが馬をいちばん見てた時期が98~99年くらいで、当時はサイレンススズカステイゴールドグラスワンダースペシャルウィークエルコンドルパサーセイウンスカイ……とそうそうたる顔ぶれだった時代なんですけど、だいたいそれくらいの時期に完結したマンガです。 リンクは1巻と5巻のものなんですけど、これ見てわかるように1巻~4巻までと5巻とで作風がぜんぜん違うんですよね。4巻まではギャグ、競馬あるあるマンガという感じで、5巻から打って変わって競馬ドラマになっていきます。田原元騎手の競馬観や騎手観が投影されていて、そのあたりのリアルさやシビアさは真に迫るところがあります。原作の田原氏自らが体験したサンエイサンキュー事件を元にしたエピソードとか。最終巻がこれまで凄まじい。読んで味わってほしい。全17巻と割と手を出しやすい長さだと思います。

原作の田原成貴は92、93年有馬記念トウカイテイオーマヤノトップガンの主戦を務めた騎手。桜花賞を4度勝っており、春の牝馬クラシックで存在感があった*1

元GIジョッキーの原作ということもあり、騎手目線の描写は真に迫るものがあり、競馬の本質的な部分を描いている作品の一つだと思っている。今なお色褪せない魅力があるが、さすがにタイムなどは当時のレコードに基づく描写になっているため、現代のレコードを知っていると思ったより速くないな?となるかもしれない。

スピーディワンダー

これはありゃ馬こりゃ馬よりももうちょっと最近めの話。原作はジャイアントキリングの原案を担当する綱本将也氏。
ディープインパクト産駒が出てきたりするのでそういう時代感。ヒーローが騎手でヒロインが牧場の娘のダブル主人公になっていて、騎乗の話はあまり主ではない。騎手目線での馬の性質とかそれくらいの描写はあるものの、どちらかというと馬産地寄りの話になっている。馬の血統背景を絡めつつ、近現代競馬史の血統ミステリーの謎を解明していく、という結構なよくばりセットで、読み応えがしっかりある。全体的にはどちらかというとファンタジー寄りの話で、そうだったら面白いよね、くらいの気持ちで読むと楽しめるだろう。

セイウンスカイの後継馬が出てきたり、血統描写にはロマンがあり、そういうのが好きな人にはたまらないと思う。わたしはたまらなかった。

JBISにコラムを連載しており、スピーディワンダー登場馬の血統背景の解説や架空馬の記事が読める。楽しいのでスピーディワンダーを読んでよかったという人はこちらも見てみてほしい。

enjoy.jbis.or.jp

イッキ!

これは電子書籍化されていないので紙の本で読むしかないのだが、特にプレミアでもなく普通に市場にあるので苦労せず読めると思う。
連載時期はありゃ馬こりゃ馬とだいたい同じ時期で、競馬ブームだったので競馬漫画もたくさんあった。マキバオーもじゃじゃ馬グルーミンアップも90年代。

競走馬に転生してしまい、よりよい来世のためにジャパンカップ勝利を目指して走ることになった男の話。今日日珍しくない転生ものだが、転生先が競走馬で、だんだん競走馬としてよく走りよく生きることを目指すようになっていくドラマは、今読んでも楽しめる、というか今だからこそ楽しめるかもしれない。

作者がちょっとエッチなマンガを描いていたこともあり、お色気描写が多い。追っても走らず女性ジョッキーが胸を押し付けることでスパートをかけるというのがなんとも男性向けっていう感じなんだけど、そういうコメディから出発して最終的によく走りよく生きるのはベタベタだけど王道で熱い。

全9巻で短めなんだけど読み応えはあり、特に地方競馬のダート競争にもスポットを当てているところがいい。ダートを走った馬がジャパンカップを勝ちに行くのがまたいい……。地方から中央に挑戦するドラマはオグリキャップをはじめ、90年代にはメイセイオペラアブクマポーロ、地方所属馬としてはじめてクラシック前哨戦となる中央重賞を制したライデンリーダーなど、輝かしい活躍をする馬が多かった。わたしは今作を読むまで地方競馬の存在はよくわかってなかった*2し、ナイター競走がある!ということも知らなかった。そういうものに触れられるいい作品だったなと今でも思う。

*1:なお騎手の桜花賞勝利数4は現代も歴代2位タイの記録である。トップは武豊の5勝。4勝は他に安藤勝己河内洋がいる

*2:ダビスタ地方競馬のレースを扱わないというのもあった

ヘロドの血

サラブレッド三大始祖といって、サラブレッドの父系をたどっていくと、元になった三頭の馬に行き着く、というものがある。
ダーレーアラビアンゴドルフィンアラビアンまたはゴドルフィンバルブ、バイアリータークの三頭がそれだ。もちろんこの三頭はサラブレッド以前の種であり、サラブレッドではない。ダーレーアラビアンはアラブ種だし、ゴドルフィンアラビアンまたはゴドルフィンバルブは、アラブ種かバルブ種とされる。バイアリータークはターク種。

さて、三大始祖ダーレーアラビアンゴドルフィンアラビアンバイアリータークの子孫についてだが、これも途中まではほとんど一本の系統になっている。なっているというか、なってしまった。その一本の系統以外は廃れて、現代に残っていない。だから現代の馬をたどっていくと、ある時点から一本の系統に収束する。

ダーレーアラビアンではエクリプス、ゴドルフィンアラビアンではマッチェム、バイアリータークではヘロドがこれに当たる。この三頭もまた、まだサラブレッドではない。サラブレッドという概念が成立するのは彼ら以降である。しかしながらこのあたりからサラブレッドが形作られていったわけで、エクリプス、マッチェム、ヘロドの三頭をサラブレッド三大始祖と呼んだりもする。

ちなみにダーレーアラビアンにはフライングチルダースという系統もあったのだが、これはサラブレッドとしては廃れている。

現代のサラブレッドはほぼエクリプス系であり、マッチェム系、ヘロド系はごくわずかにしかいない。ヘロド系の種牡馬は日本にはクワイトファインとギンザグリングラスの二頭しかおらず、クワイトファインは一回きりの繁殖であることが決まっているので、クワイトファインに牡馬の子が生まれて種牡馬入りしないかぎりは、ギンザグリングラスの系統しか残されていない。そのギンザグリングラスは一応産駒が地方競馬で勝ち上がってはいるが、あまり目覚ましい活躍をしているとはいえない。先日フェイドハードが2勝目を上げた。善戦もしているし、いいところまではいけそうに思えるのだが、なかなか難しいだろう。

と、父系としては苦境に立っているヘロド系だが、ヘロドの血、という意味でいえば、エクリプスにも匹敵するほど現在の競走馬に強い影響をもたらしている。

ヘロド系の種牡馬ザテトラークの子に、ムムタズマハルという牝馬がいる。現役時代には Flying Filly の異称をもつ快速馬だったが、繁殖入りしてからムムタズマハルは一大牝系を築き上げる。 二番仔となる娘のマーマハル。その子、マームード英ダービーを勝ち、その後種牡馬として名牝アルマームードを輩出。アルマームードの子に後にヘイローの母となるコスマーや、ノーザンダンサーの母ナタルマがいる。つまりアルマームードはヘイローやノーザンダンサーの祖母にあたる馬である。アルマームード自身はムムタズマハルの牝系ではないが、その血はマームードを通じて伝わっている。
ほか、スマートファルコンタニノギムレットがマーマハルの直系の牝系に属している。

六番仔ムムタズビガムはナスルーラの母となった。ナスルーラは日本では特に影響の大きな系統で、プリンスリーギフト、グレイソヴリン、ネヴァーベンド、ブラッシンググルーム……といった多数の系統の子らが80年代から90年代にかけて日本で活躍した。
これだけでもすごいが、娘のサンプリンセスがロイヤルチャージャーの母。ロイヤルチャージャーも偉大な種牡馬だったが、更にその子ターントゥからヘイルトゥリーズンサーゲイロードが、ヘイルトゥリーズンからはヘイロー、ロベルト、そしてヘイローからはサンデーサイレンスが生まれている。 玄孫世代にはカラムーンがいる。カラムーンカンパラの父、トニービンの祖父である。カラムーンはグレイソヴリンの孫だから、ナスルーラの曾孫だ。父系としてはナスルーラの母にムムタズビガムがいる一方、牝系もまたムムタズビガムの直系である。 直系の牝系に属する馬にホクトベガがいる。残念ながら競争中に予後不良になってしまったが、彼女の強さはムムタズビガムから受け継がれてきた血によるのかもしれない。

直仔の牡馬も構成に影響を残した。八番仔ミルザは一大牝系を築くスカイラーキングを輩出。スカイラーキングの牝系からはヴィルシーナシュヴァルグランヴィブロスダノンシャンティグラスワンダーといったGI馬が生まれている。

五番仔バドルディンはマイバブーの母となるパフュームを輩出。マイバブーはパーソロンの祖父であり、パーソロンは日本競馬で大活躍した名種牡馬である。シンボリルドルフメジロアサマサクラショウリといった八大競走勝馬あるいはGI馬を輩出、母の父としてもカネミノブシリウスシンボリメジロドーベルといった活躍馬を出した。トウカイテイオーメジロマックイーンらの世代以降、パーソロンの系統は衰退の一途をたどったが、オルフェーヴルドリームジャーニーを通じてメジロマックイーンの血が受け継がれている。

そんなわけで、世界的な大種牡馬ノーザンダンサーナスルーラヘイルトゥリーズンらの祖になったのがムムタズマハルであり、その祖先がヘロドである。ヘロドの血筋は父系としては途絶えつつあるが、偉大なその血は名牝ムムタズマハルを通して広く伝わり、今日もどこかで走っている。

競走馬の思い出

1998年、ぼくは当時中学2年生だったんだけど、80年代の終わりからはじまった競馬ブームは黄金の世代によって今まさにピークを迎えようとしていた、と記憶してる。いろんな競走馬シミュレーションゲームが出ていたし、たとえばダービースタリオンとかギャロップレーサーはよくプレイしたのを今でも覚えている。ギャロップレーサー、一部の馬名が使えなかったんだよね。セイウンスカイクラウドブルーで、サクラバクシンオーがハルノボンバー……オグリキャップがナルビークラウンでビワハヤヒデがシガシャルードだったかな。ナルビークラウンとかシガシャルードは当時なんのことかよくわからなかったけど、オグリキャップの母がホワイトナルビーで、キャップとクラウン両方頭に被るもの、ビワハヤヒデの父がシャルードビワハヤヒデのビワは琵琶湖のビワに由来する、ということで、おおよそ元の馬名を連想させる名前だといまならわかる。

当時はぜんぜん競馬のことをよくわかってなかったけれども、GIシーズンになれば中継を見たし、スペシャルウィークセイウンスカイキングヘイローの三つ巴の対決はよくわかってないなりにもなんとなく覚えている。

サイレンススズカ予後不良のことも覚えている。ライスシャワーのことはなんとなくくらいにしか覚えてなかったし、サンエイサンキューのことはほとんど知らなかったけど、サイレンススズカはあのめちゃくちゃ強いエルコンドルパサーに土をつけた馬で、しかも当時のぼくの知識でも大逃げした馬が逃げ切って勝つなんてことそうそう通用するものではないということはわかっていて、だから毎日王冠は衝撃的だったし、秋の天皇賞もショックだった。

翌年の中心はスペシャルウィークグラスワンダーエルコンドルパサーステイゴールドだった。ステイゴールドは毎回勝ってほしいと思いつつもなかなか勝ちきれない、そんな感じが魅力の馬だった。ステイゴールドが引退する頃には実は競馬をそんなには見なくなっていたので、彼が引退レースに香港GIを選んで、有終の美を飾ったことを知ったのも後になってからだった。

スペシャルウィークグラスワンダーエルコンドルパサーもみんな話題になったけど、セイウンスカイ古馬になってからは大きいところは勝ちきれず、キングヘイローもいいところがない、というのが続いていた。キングヘイロー高松宮記念を勝つ頃には、ぼくは競馬をそんなには見なくなっていた。

当時のぼくのタイムスパンだと、競馬というのはGIとGIの間が長いようでいて、一頭の競走馬が活躍する時間はあまりにも短い。思い入れのある馬が次の年にはもういなくなっている。だから、スペシャルウィークエルコンドルパサーセイウンスカイの名前を見かけなくなったところで、そこでなんとなく自分の中でブームが終わっちゃったんだろうと思う。

キングヘイローをなんとなくいいな、と思うようになったのは、その後、競走馬SLGをやるようになってからだったと思う。
競走馬SLGをプレイするようになって、血統というものを意識するようになった。なった、とはいっても、確かプレイしていたのはダビスタで、父馬の名前はよく覚えてなくて、なんとか系とかそういうのだけ抑えている感じだった。ナスルーラ系は気性が荒いとかそういうの。
ナスルーラ系を使ってよく勝つことがあったのでナスルーラ系は結構思い入れがあるんだけど、キングヘイローノーザンダンサー系。なんでキングヘイローがいいなと思ったかというと、母の父がヘイロー。ヘイローはヘイルトゥリーズンの子で、サンデーサイレンスの父だ。だから、キングヘイローはサンデーの血は持ってないけど、ヘイローのクロスがつけられる!
と、まあ、なんとも現金な理由だったけど、ヘイロー、グッバイヘイローキングヘイローという血のつながりがなんとなくいいなと思ったのも確かだった。ダンシングブレーヴのことはあんまりよくわかってなかったけど、リファールはけっこう好きだった。

ギャロップレーサーではクラウドブルーが好きだった。セイウンスカイのことがやっぱり好きだったんだよな。まず芦毛が好きだった。ナルビークラウンもシガシャルード芦毛だった。

一昨年くらいから、なんとなく競馬をまた見るようになった。アーモンドアイの活躍もあったし、ちょうどちょうどコントレイルの京王杯のレコード勝ちを目の当たりにした、というのもあって、そこから毎週追うようになった。コントレイルはディープインパクトの最高傑作になる予感がしたし、サリオスの朝日杯もしびれた。実際にコントレイルはそこから無敗三冠を達成したし、サリオスもGIこそ朝日杯以来勝ててないけど、古馬相手に堂々とした走りを続けている。
二頭のライバル対決を見てなんとなく自分が一番競馬を見ていたときのことを思い出したりもした。

競馬見てなくてもディープインパクトがすごい馬だったこと、ウオッカがダービーを勝ったこと、北島三郎の馬キタサンブラックか大活躍したこと、とかはわかるくらいではあったんだけど、あらためてウイニングポスト9をやって、90年以降の日本競馬史がどうなっていったのかを、そこではじめてちゃんと理解した。

サンデーサイレンスが席巻したことはわかっていても、今のリーディングをディープインパクトキングカメハメハが長年争い続けてきたことまでは知らなかったし、キングカメハメハ産駒にロードカナロアアパパネといったすごい馬がいることももちろん知らなかった。キングカメハメハの父がエルコンドルパサーの父キングマンボだということも知らなかった。オルフェーヴルは名前はわかるけど、ステイゴールド産駒なのも知らなかった。ステイゴールドきみ種牡馬としてめっちゃ成功してるんやな……!

グラスワンダーには孫世代にモーリスという名馬がいる。スペシャルウィークは後継種牡馬をあまり多く出せず、リーチザクラウントーホウジャッカルくらい。リーチザクラウンはなかなか健闘しているけれども、自身の後継はいまだ出せてない。トーホウジャッカルはこれからだと思うけど、けっこう苦しいと思う。
セイウンスカイは……もう父系は残っていないらしい。母の母の父に名前を見つけた。ニシノデイジーニシノフラワーみたいな名前だな、と思ったら、母の母の母がニシノフラワーセイウンスカイニシノフラワーのひ孫!? ホープフルステークス3着、ダービー5着、セントライト記念5着、以降は入着もできていないけど、なんとかがんばってほしい。父系としては血を残せなくとも……。

せめてゲームの中では、と思って、セイウンスカイビワハヤヒデの子をめいっぱい走らせたりしている。テイオーの子を走らせたりマックイーンの子を走らせたり、っていうのもやっていた。トウルビヨン系、なんとか存続してほしいよね……って思ってる。

ウマ娘は、ダビスタみたいにオールスターレース方式なんだけど、シナリオは史実ベースで、ウイポダビスタのいいとこどりみたいな味がある。競走馬SLGはもうちょっとそのへん淡白なんだけど、ウマ娘はがっつりストーリーでライバル関係を演出する。黄金の世代にキングヘイローもいたんだよ……!

と、キングヘイローでURAファイナルズを突破できたので、なんとなく思い出したりしたことを書き留めてみたかったので書いた。

特にオチとかはないです。

ウマ娘プリティダービーやってる

よくできてる。基本的にはパワプロサクセスモード。レースは作戦だけ決めて見てるだけなので他の競走馬SLGのそれと同じ。

ダビスタは馬のステータスが見えないのが良いこととされているんだけど、ゲームとして考えてみると指針がなく、なんかよくわからんけどいい乱数引けたねみたいな感じになりやすい。ウイポはステータスはだいたい見えてて、ステータスどおりに決着がつきやすく、SLGとしてはよくできてるけどダビスタほどのロマンがないともよく言われる。

ウマ娘がどっち寄りかというと、ステータスが見えてるのでウイポ寄りかと思いきや、ウイポよりも不確定要素が大きく、かといってダビスタSwitchほどよくわからん負け方をしたりということがない。ダビスタは条件戦1番人気で着外を連続するみたいなのがけっこうあって本当に納得感が薄いんだけど、ウマ娘は順当に人気通りに勝つし、ステータスに穴があると人気してても凡走することもよくあるし、もちろん人気薄でも一発決まることもあるという感じで、かなり実際の競馬っぽさがある。そもそもレース展開自体がかなり自然で、これ作るのすげー大変だったのではないかと思う。現状コンシューマの最新の競走馬SLGのレースシーンが前壁からの反復横飛びするダビスタSwitchだったり、最後の直線で早送りしたみたいな加速で差し切るウイポ9だったりで、そのへん見るとゲームの限界を感じたりしたもんだけど、ウマ娘は本当にそのあたりの出来がいい。

あと実況もめちゃくちゃテンポがいい。レース展開についていけてることがまずすごいのだが、架空の馬名を読み上げる音声合成エンジンの関係上、ダビスタSwitchやウイポの実況はどうしても若干もたつくところがある。ウマ娘は架空ウマ娘は番号だけしか読まないし、あらかじめ決められた馬名だけ読み上げるというのが奏功してる感じがある。本当によどみがないんよね。あと収録ウマ娘数を絞ってるから、名前に強弱のバリエーションがあったりしてかなり臨場感がある。本当によくできてる。

育成部分はパワプロサクセスモードのそれとおおよそ同じようなプレイフィールで、他のウマ娘とのイベントがあったり、ウマ娘ごとにシナリオが用意されていたり、パワプロ2020のサクセスよりボリュームあるんじゃないかという感じ、まあパワプロはゲームモードのひとつにすぎないし、ウマ娘はこれがメインなので当然かもしれないんだけど、基本プレイ無料でこのボリュームって気が狂ってないか? 大丈夫? もっとも基本プレイ無料でも課金売上でペイできるのかもしれないけど……。

難易度がけっこう高くて、繰り返しプレイしてカードを強化して、という感じになると思う。さっと遊んだ印象だと☆1より☆2のほうが勝ちやすいし、☆3はもっと勝てる印象。最初にプレイした☆1のキングヘイローホープフルステークスを勝つもダービー5着に入れず終了、次にプレイした☆3のタイキシャトルは3年目の春秋マイルとスプリンターズステークスを勝ちGIを3勝、URAファイナルズは準決勝でスズカに負けて終了、次に☆2のマヤノトップガン、☆2のダイワスカーレットとプレイしたが、それぞれクラシック、ティアラでGIを1勝するも、次の目標を惜しくも達成できずに終了。プレイ評価は☆1でE、☆2でD、☆3でCなので、まあおおよそそういう傾向があるだろうと思う。遊んでるとそこまで露骨には違わないのでサイゲのさじ加減の上手さを感じる。RとSRとSSRの差別化って世のゲームはどこもみんな苦しんでると思ってて、SSRを強くしすぎて、SSRがいるとゲームがただの作業になってしまうか、逆にSSR前提のゲームバランスになってしまうか、というのをよく見てきたんだけど、ウマ娘は「次のプレイではもうちょっと先まで行けそうだな」という実感が持てるので、低レアでもちゃんと遊んでて楽しさがある。シナリオがウマ娘ごとに個別に用意されてるのもたぶんいいんだろうなと思う。

あとはライブなんだけどまあわかるよね、これはウイニングライブということなので本人の歌唱データがある曲なら勝ったウマ娘がメインで歌います。は??????ってなった。あと本人の歌唱付きじゃないけどマヤノトップガンがセンターの Winning the soul 最高によかったんですけど?????? ただ画面の端に3着のフクキタルが映るのが気になって笑ってしまった。

リアルタイムで98世代が好きだったので実際に手元に届いてもうそれだけでもけっこう嬉しいがゲームがちゃんと面白いのでがっつり時間取られそうになるがこれからもやっていくと思います。並走してるハチナイとプリコネはスキチケで回せるので片手間でも遊べるのが救い。

dyson sphere programに参加して君もダイソン球を作ろう

というわけでダイソン球を作る Factorio こと dyson sphere program をやっている。Factorio も無限に時間を費やして無限に遊んだが、dsp も同様に無限に時間を費やして無限に遊ぶゲームの気配を感じている。

dps のプレイフィールは基本的には Factorio のそれと同様だが、大きな差異である「ダイソン球を作るのが目的」という点以外に、細かいところでも結構差がある。

まず、いくつかの中間素材が簡略化されている。たとえば銅線はなく、銅線を使うような物であっても銅インゴットから直接作れる。一方で鉄は鉄インゴットと磁石、歯車、鋼鉄があり、このうち歯車は鉄インゴットから加工する必要がある。鋼鉄は鉄を精錬して作る。このへんは Factorio もそうなっている。磁石がけっこう特徴的で、駆動部品の材料になる。Factorio のエンジンユニット相当のカテゴリになると思うが、エンジンユニットと比べて作りやすく、そのかわり大量に要求される。Factorio は何につけても基盤という感じだったが、dsp では基盤は基盤、駆動部品は駆動部品というふうにカテゴリがわかれていて、それぞれの需要のバランスがいい。

あと石の使い道が増えていて、Factorio だと基本石レンガのための材料だが、dsp では超重要な材料であるシリコンやガラスの原料になる。石からシリコン、ガラスを作る。他にも硫酸を作るのにグラファイト、水の他に石が必要だったりで、存在感が大きい。材料のツリーがけっこうまんべんなくばらけている。もちろん一番よく使うのは鉄ではあるものの、銅や石の使いみちが多岐に渡るので、鉄ばっかりいじくりまわしてるなという感じはあまりない。

ここからが重要で、惑星によって埋蔵資源が異なる。たとえば初期惑星では湯水のように使える石だとか石油だとかは、他の惑星で同じように使えなかったりする。一方で初期惑星では調達できないチタンだったり、あるいは鉱脈から直接シリコンを採取できるなんてこともある。複数種類の資源が要求されるので、たとえばチタンが大量にあるけど強化チタンにするのに水がなくて硫酸が入手できない、とか、どの惑星で何を作って何を輸出するのかみたいなことを考える必要があって戦略性がある。

あとはゲームが進行するにつれて足りなくなる材料の種類が少しずつ変化していくところはなかなかよく調整されていると感じる。資源の要求の変化によってゲームのエスカレーションを実感できるようになっている。

最初は鉄と銅だけあればいいのが、電力のために石炭を確保し、次に原油を確保すると、次は太陽帆のためにシリコンとグラフェンが必要になるので、それまで燃料に回していた石炭や原油を、グラファイト、硫酸、石油などに加工していく必要が出てくる。原油の加工を行うと大量の水素が出始めるのでこれをかわりに燃やすようになって、それから太陽帆を打ち上げる頃にはチタンが必要になり、いよいよ惑星の外に飛び出すことになる。この後は惑星間輸送を行うようになって資源の供給が安定するようになるが、この先に大量の重水素が必要になり、それまで燃やしていた水素を重水素に変えていくことになる。こんなふうに随所にエネルギーの転換のタイミングがあって、ゲームが進行していることがかなり直感的にわかるようになっている。

ゲームの舞台が惑星内から他の惑星、他の星系と広がっていくところもよいし、そのために必要な材料、部品、技術の要求水準も飛躍的に高くなっているから、達成できたときに次のステージに入ったという実感が強い。

マップが球面で、自転と公転がある、というのもプレイフィールに結構大きな変化をもたらしている。球面なので赤道付近と高緯度帯では使えるスペースに差がある。高緯度帯のグリッドは歪で、計画的に整備するのはむずかしい。そのかわり、高緯度帯は東西の移動が短く済み、極点に近い。極点は重要で、太陽光発電にせよ太陽帆の射出にせよ、太陽が見えている時間の長さによって効率が変わってくる。当然太陽が見えている時間が長いほうがいいので、白夜のある極点付近で太陽光発電や太陽帆の射出を行うべし、ということになるが、太陽帆の製造を赤道付近で行うと、極点まで輸送する必要がある。コンベアで運ぶとコンベアの長さ分無駄が発生してしまう……というような、球面を意識した開発が求められるようになっている。このへんは Factorio にはない要素で、なかなか面白いと感じている。地軸の傾きで昼夜の長さが変わったりするので、初期惑星自体のプレイフィールも相当に変わる。地軸がほぼ水平という惑星に降り立ったことがあるが、太陽光発電の効率がめちゃくちゃ悪くなり、攻略法を変える必要があった。リプレイ性の高さを感じている。

というわけで、興味が湧いた人はぜひダイソン球を作ってみよう。

こちらからは以上です。

苦言を呈すということ

「その人のためを思えばこそ厳しいことを言う」というのがめちゃくちゃ難しいんだよな。

人間の脳にとって「他人に厳しいことを言う」のは結構な快楽要素になる。で、人間の脳は快楽に対して脆弱性があるので、快楽の再現のために「他人に厳しいことを言う」ようになっていく。

「自分の快楽のために他人に厳しいことを言う」ようになるとこれはもうかなり苦しい状態で、こうなってしまうとこの快楽を断ち切るのは難しい。自覚できればいくぶん快復の余地がある。無自覚なままこの状態に陥ると、どうやって助かるのかぼくにはわからない。

自分自身、結構この快楽に弱い気がする。いや、厳しいことに限らず、他人にアドバイスをするのが相当に気持ちがいい。この快楽にあらがうのは困難がある。

このへんの欲求を昇華するために、たとえば技術ブログを書いたりするという行為がある。不特定の第三者に向けて知見の共有するというのは、アドバイス行為を間接的にする 。ただこれも承認欲求を満たすために技術ブログを書き始めるみたいなサイクルが形成されはじめると苦しい。

ブログを書いてもツイッターでその旨を発信しないようになったのは、承認欲求と切り離すため、というのがある。

さておいて、真に他人のためのアドバイスなんかできようもないので、ぼくはそういうのはできないと思っているし、それは責任を取れないからとかっていうよりは、結局自分の快楽のために他人をだしにするのが自分にとってよくないという、いたって自分本意な理由からで、まあどっちに転んでも自分本位なら、せめて他人は巻き込むまい、という考えからである。こうやって人との付き合いがどんどんと疎になっていく。

仕事だとああしたほうがいいこうしたほうがいいみたいなのはつい言ってしまう。自分が気持ちよくなりたいからというのももちろんあるが、ある種の八つ当たりの側面もあろうと思っていて、いつも反省するんだけど、まだまだぜんぜん未熟なのでつい言ってしまう。せめてそういう感情とフラットに物を言えるようになりたいが、こういうのは自分の性質にかかわることだから、長い目で付き合っていくしかないだろう。

やっていきましょう。こちらからは以上です。

無敗馬

サラブレッドにおける無敗馬、現代の競争においては非常に達成が困難で、というのも、かつてはたとえば調教設備の格差であったりなどの様々な理由からレベル差が大きかった関係で、抜きん出て速い馬というのが存在しやすかったが、現代はそうではなく、全体のレベルが向上してそれほどまでに他を圧倒する存在というのが成立しにくくなっている。

90年代以降の日本の中央競馬における無敗馬は、たとえばアグネスタキオンフジキセキがいる。いずれも4戦4勝、GIも勝っているが、要は負ける前に引退した、ということであって、常勝無敗だった、というわけではない。現役が長かったらどこかで古馬と対決して負けていただろう。

古馬と戦う前に引退したが、古馬と戦っても勝っただろうという馬にマルゼンスキーがいる。8戦して8勝、生涯最後のレースになった札幌の短距離ステークスでは2着に10馬身差をつけての圧勝で、この馬が同世代の中で抜きん出ていたことがわかる。マルゼンスキー外国産馬だったので内国産馬限定のレースには出られず、クラシック競争も天皇賞も走れなかった。2000m以上は走っていないが、皐月賞秋の天皇賞は勝てたんじゃないかと思う。

海外に目を向けると、まず外せないのがフランケルだろう。日本でも産駒が走っているし、GI馬も多数輩出しているが、何より自身の成績がすさまじい。14戦14勝、うちGIを10勝している。距離適性の関係か、ダービーやKGVI&QS、凱旋門賞は走っていないが、英国内のマイルGIを総なめ。新馬戦では後にKGVI&QSを勝ったナサニエルを下しているし、引退レースでは当時最強の古馬の一頭であったシリュスデゼーグルを下している。これだけの相手に勝って無敗なのだから真に無敗の名馬といっていい。

このフランケルに勝るとも劣らない圧倒的な馬がもう一頭いて、それがオーストラリアのブラックキャビアである。

歴史上最強のスプリンター、ブラックキャビア。その戦績はなんと25戦25勝、うちGIを15勝。21世紀の馬ですよこれ。ブラックキャビアの偉業をたたえ、現役中に自身の名を冠するようにレース名が変更されたりしている(しかも勝って三連覇を達成)。英アスコットのダイヤモンドジュビリーステークスではフランスでGIを6勝した強豪スプリンター、ムーンライトクラウドを下しており、オーストラリア国内でだけ強い馬というわけではなかった。

古馬になってからも他馬を圧倒するほど強い馬が、レベルの上がった現代においても存在しており、それらの馬がどれほど強いのか、推して知るべしという感じ。

それはそれとして、古馬と対戦するまで一度も負けていないコントレイルやデアリングタクト、無敗ではなくなってしまったがそれがすごくないのかというとめちゃくちゃすごい。ディープインパクトにしたって有馬記念ハーツクライの2着に敗れているし、それくらい古馬と戦って勝つのは難しい。ヨーロッパだと3歳馬が凱旋門賞を勝つのはあまり珍しくないんだけど、そういう3歳馬が凱旋門賞を勝った後、古馬になってからも強かったかというと必ずしもそうではない。
現代は全体的にレベルが上がっているので、勝ったり負けたりするのが普通で、そんな中で連対率100%とか複勝率100%とかいう馬がいたらそれは充分に歴史的な名馬である。そうでなくとも、オルフェーヴルゴールドシップみたいにムラっ気があって勝ったり負けたりしながら大レースでたくさん勝っている馬もいる。アーモンドアイだって有馬記念では凡走している。古馬になってから覚醒したモーリスのような馬もいるし。

今年は昨年みたいに無敗三冠馬が誕生するような年にはならなさそうな気はしていて、たとえばソダシは強いけどオークス勝ちきれるかどうかはまだ未知数だよね、とか、ダノンザキッドはダノックス史上最大の大物だと思うけど、じゃあ菊花賞戦えるのかっていうとわからないし、という感じ。グレナディアガーズみたいにすでに無敗ではないけど将来有望なマイラーもおり、どの馬が抜きん出ている、という感じではなさそう。その分、拮抗した勝負が見られそうだなとも思っていて、それはそれで楽しみではある。
ちなみにグレナディアガーズはフランケル産駒で、フランケルマイラーだったのでおそらくグレナディアガーズもマイラーだろう、と想像しているんだけど、ソウルスターリングオークス(2400m)を勝っているし、フランケル産駒の中には英セントレジャー(3000m!)を勝ったロジシャン、仏カドラン賞(4000m!!)を勝ったコールザウィンドがおり、必ずしも産駒もマイラーとは言えない。まあ母父がアンブライドルドの子ハーリントンだし、長距離適性のある血統には見えないのでマイラーなんじゃないかとは思う。

というあたりを踏まえてウマ娘2期の6話を迎えたいと思っています。こちらからは以上です。