続・戦闘がないRPG

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ゲームボーイカエルの為に鐘は鳴るというゲームがありまして、ジャンルはアクションRPGなんですが、アクション要素はシンボル遭遇システムの敵避け程度のアクション性で、かといってRPG部分については戦闘は自動、しかも乱数なしなので、絶対に勝てない敵には絶対に勝てないし、ダメージを受けずに倒せる敵は必ずノーダメージで倒せます。でもお金を貯めて武器防具を買ったり、ステータスアップアイテムを取って成長したりという要素があり、RPG同様のリソースマネジメントと探索の要素があります。

前回の記事で「戦闘を抽象化してもRPGとして成立する」ということを書きました。このゲームをやってもらえればおおよそ伝わると思っています。

さて、もう一作品紹介するのですが、ノーラと刻の工房の開発に携わった岡澤Dが手がけたゲームにオアシスロードというものがあります。
このゲーム、別に戦闘要素を抽象化しているわけではないのですが、ゲームバランスの調整不足によって、戦闘がリスクとしてはほとんど機能していません。
このゲームでよりリスクとして効いてくるのはどちらかといえば食料と燃料で、とはいえこれもふつうにプレイしていればそんなに問題になるものではないですが、回復アイテムの所持数がダンジョン探索限界に影響することを考えると、食料と燃料がおおむね似たような仕組みとして機能しています。
それから、プレイヤーキャラクターのステータスが交渉や探索に影響していて、このステータスの成長が戦闘以外のところでゲームの進行条件として効いています。このゲームにおける進行の障害となる要素は、戦闘よりもむしろ交渉や探索のほうであり、レベルアップシステムは戦闘以外の要素に対してもゲームの進行をコントロールするのに使えるということがよくわかります。

前回の記事で触れたロロナのアトリエをはじめ、アトリエシリーズには錬金術レベルが存在していて、このレベルによって上位アイテムの作成難度がコントロールされています。上位アイテムを作るにはレベルを上げる必要があり、レベルを上げるためにリソースマネジメントをする……という点について、実は戦闘パートがなくても RPG の動きをする要素が整っているわけです。

ここまでをまとめます。

  • RPGは探索とリスクコントロール、リソースマネジメント、成長の要素で構成される。
  • 探索は抽象化してよい。探索によって何らかのリソースを得られるかわりに、何らかのリスクを負う。
  • プレイヤーはリスクとリターンを天秤にかけながら、どれくらい探索を続けられるか、探索にどの程度リソースを投じるか判断する。
  • リソースを投じることでプレイヤーキャラクターが成長し、成長によって直接的に、あるいは探索限界が拡大されることによって間接的に、行動範囲が広がる。
  • リソースの投入先は戦闘でなくてもよい。探索でもよいし、直接プレイヤーキャラクターの成長要素に投入することもある。

このあたりを踏まえて、戦闘要素を除外しても RPGRPG の味わいを保ったままで成立するかどうか試してみたいと考えています。