「競馬って馬券を買わず見るだけで楽しいの?」

サッカーファンがあまねくサッカーくじを買っているわけではないし、F1を真に楽しむのなら賭けるために日本国外に行く必要がある、という話になってしまうんだけど、それでまだ納得できないなら、競技と応援の関係について考えてほしい。

ただの馬じゃん、と言われると困るんだけど、そんなことを言ってしまえばスポーツ選手も単なる他人である。まあでもこれも海外のスポーツ選手を応援する心理がわからない、という人がいたりするので、なんとも言えない。そもそもスポーツが嫌いだという人もいる。スポーツが嫌いな人がじゃあ囲碁や将棋も嫌いなのかはよくわからない。RTAやゲームの対戦といった競技も含めて嫌いなのかどうかもよく知らない。それらを観戦、観賞することと競馬の観戦って本質的にはあんまり変わらないんじゃないかと思っていて、応援している馬が勝ったら嬉しい、っていうシンプルな楽しみ方がどうして理解されないのかは、あんまり納得がいっていない。

まったくわからなくはない。

ボードゲームはそれ自体が楽しいのに、メディアでボードゲームを観戦させる場合、ボードゲーム外に罰ゲームや賞金を用意して娯楽性を外部に設定しておりこれがわからない、という話があり、まあ遊ぶのはボードゲームだけで楽しいけど、見るのはそうじゃない、という話もわからないではない。これってボードゲーム自体の楽しさがわかるかどうかに結構依存している。

競馬もたぶんそう。サラブレッド競争自体の楽しさがわからないと、賭けることが主体というふうに受け取られるんだと思う。

賭けることが楽しみにまったくないとは言わないんだけど、たとえば馬産地は穴馬を作ろうと思って作ってるわけではないし、オーナーも穴馬を走らせようと思って走らせているわけではない、と思っている(かつて穴馬で人気だった馬の仔を走らせたい、とかそういうのは別として)。それはF1チームがグランプリに勝つために研究しているのと同じように、たとえばより速い馬を追求している馬産者がいて、その結果として馬が産まれてレース場で走っている。それを見たいというのはそんなに変なことではないと思う。

それはそれとして、競馬の運営は馬券の売上によっている部分があるので、競馬を楽しむのなら入場料代わりの馬券くらいは買ったほうが健全だと思っている。別に儲けなくていいというか、儲けるつもりじゃないほうがいい。プロ野球中継はタダで見るのに競馬中継はタダで見てはいけないってのも変な話のような気もするけど、それを言うならプロ野球も球場に行かないなら行かないなりになんかしらお金を落としたほうがいいとは思う。

自分の金が絡むからか、負けたときに馬や騎手に悪態をつく人がいる。そういうのは個人的にはあんまり見たくなくて、そうではない関わり方をしたいと思っている。ぼくが馬券を買わないとか買うとしても最初から儲けようと思わないっていうのはそういうところに理由がある。

娯楽は身を滅ぼさない範囲で楽しみましょう、というのは別に競馬に限らない。ソーシャルゲームみたいなものがもっと身近にあるのだし。